第325話 ゼロのプロフ

 ふたりはプロフィール作りに取り掛かることにした。エルフリーナに会う為にも手を抜くことは許されない。


 カシャッ!


 写真もバッチリ『かっこよさ』と『ミステリアスさ』を演出して撮ることに成功。


「よし。めっちゃいい感じに撮れましたよ。じゃあ兄貴、ニックネーム入れましょう!」


「ニックネーム?」


「そうっす! さすがに本名を入力するのは危険っすからね!」


「な、なるほど。ど、どうしましょうか。えーと……」


「ここもセンスが問われるっすよ!」


 ネル・フィードは目を瞑り、精神を集中。軽い瞑想状態に突入し始めていた。
















「……ゼロ」



 全くもって頭が空っぽになったネル・フィードの口から出たのは『ゼロ』の2文字だった。


「ん? 兄貴、今のゼロってのがニックネームっすか?」


「え? なんか口から勝手に出ちゃいました。よく分からなくて」


「そうなんすか? でもいいと思いましたけど。ゼロ。かっこよさげですよ!」


「ほ、本当ですか? じゃ、じゃあ、ゼロでいきましょう!」


 ネル・フィードの満場エッチ内でのニックネームは『ゼロ』になった。無論、エルフリーナと会う時もネル・フィードではなくゼロとして会うことになるのだ!


「さて、じゃあ、お次は空欄埋めていきますよ!」


「はい。えっと、この質問にちゃんと答えていけばいいってことですね?」


「そうっす。この辺は適当なヤツが多いと思うんすけど、兄貴はちゃんとやるっすよ。エルフリーナがかかってるっすからね!」


「よし! やったるか!」



 ネル・フィードは空欄を埋めていく作業に全集中ッ!!



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォッ!



「はああッ! エロの呼吸! ゼロの型ッ! 股間飛沫こかんしぶきッ! らんッ!」



 シャキ───────ンッ!!









「えーと。ごっくん? これは希望しないっと。ん? A舐め? これも希望しないっと!」


「兄貴、無欲っすね。実にいいと思いますっ!」

(エルフリーナの好みは分っかんねーけど。嫌がる女は多いからな……)


「中出し? こ、これはできるなら希望っと!」


「さ、さすが兄貴ッ! 男っす!」


 こうして、ネル・フィードは全ての空欄を埋め終えた。そして、最後に添えるメッセージを考えなくてはならない!


「さあ、兄貴。なんて書きましょうか? 長すぎても、短すぎても良くないっす。400文字以内が理想とされているっすよ!」


 ネル・フィードは再び全集中!


 ズオオオオオオウッ!!


「アプローチの呼吸! ゼロの型ッ! 股間の舞ッ! しもたわむれッ!」



 シュウオオオオオオオオオッ! 

 


 ドウンッ!!




「こ、これで、どうだ! はあっ! はあっ!」


 ハイドライドはスマホを受け取り、ネル・フィードの書いたヴァルギナに送るメッセージに目を通した。


「兄貴ッ!! まじリスペクトっすッ! 一生ついていきますッ!」


「はあっ! はあっ! よ、よかった。後はヴァルギナの目に止まってくれることを祈るのみということかぁっ……!」


「これなら間違いなくイケるっすよ。エルフリーナは昼間に現れるらしいっす。今夜はゆっくり休んで明日に備えて下さい。お疲れ様っす!」


「よ、よかったです。ハイドライドさんのお陰で、私は全力を出し切ることができました。感謝します」


「あっ!!」


「ど、どうしましたっ!?」


「最後に『エチエチ希望』を付けるのが抜けてました。あはは」


「し、しまったあ! 私としたことが、詰めを誤るとは! ど、どうすればあっ……」


「俺やっちゃいますね。エチエチ希望っと。よし、これで送信っと!」


「す、すまない。恩にきる……ぐはあっ!」


 ネル・フィードはソファーに寝っ転がった。


「兄貴。どんな戦いよりもしんどかったっぽいですね?」

(こんなお茶目な一面もあるんだぁ♡)


「あはは。こんなことしなくても私は結構モテモテ人生だったので。こういうのは実にめんどくさいですね!」


「あ、兄貴、憧れるっす♡」

(童貞とか言ってごめんなさい!!)



 全力を出し切ったネル・フィード。果たしてエルフリーナ確定の返信は来るのだろうか?

 

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