人生を変えるHエルフリーナ編

第320話 エチエチの売人

 スタッ!!


  スタタッ!


 ふたりはシェリーモンシェリからバドミールハイムに、1時間程で戻ってくることができた。


「はっやー! 飛べるってめちゃくちゃ便利ですね!」


「アイリッサさんが飛べるようになったのは大きいですね。これで闇の能力者がどこにいても短時間で赴ける」


 ふたりが降り立ったのは情報屋『物陰のじょえ』と初めて会った手入れの行き届いていない不気味な公園。


「こ、ここなら人目にはつかないでしょうけど、夜はヤヴァいですよ。は、早く出ましょ!」


 アイリッサがそう言って天使の翼を引っ込めたのと同時に、ネル・フィードのスマホが鳴った。


「おっと、ハイドライドさんからだ……はい。もしもし」


『あっ、兄貴ッ! お疲れ様です! LINE見まして、黒翼の闇の能力者、倒したんですね!』


「なんとか、ですが」


『よかったです。で、お疲れのところ申し訳ないんですが、じょえの方から情報が入りました。今、大丈夫ですか?』


「はい。教えてください」


 ハイドライドは大きな溜息をついてから話し出した。


『じょえとその仲間がエチエチについて探っていたらしいんすよ』


「あー、エチエチ。ドラッグでしたね?」


『はい。で、そのドラッグの出どころを突き止めたんですよ!』


「そうなんですか。どこのギャングですか? まずはそいつらをとっちめて闇の能力者の情報を引きづり出す感じでしょうか?」


 そのネル・フィードの言葉に対し、ハイドライドはゆっくりとした口調で事実を告げた。


『兄貴、違うんす。エチエチには一切ギャングなんかは関わってないんすよ』


「え? 違うんですか?」


『じょえの仲間にタッカー、イーボー、カンジっていうなかなかヤヴァい奴らがいるんすけど……』


『タッカー、イーボー、カンジ……あっ、はい、それで?』


『で、その3人が今日、直接エチエチの売人の所に行ってしまったらしいんすよ……』


「直接? や、闇の能力者かも知れないのに、なんて危険なことを!」


『本当っすよ。兄貴の言う通り、3人ともさっき息を引き取ったらしいっす』


「そ、そんな、命を奪われ……」


『兄貴、実はその殺人犯のエチエチの売人。女なんすよ!』


「お、女!?」


『それもかなりのいい女らしいっすよ。その誘惑に負けて3人はフライングしたようなものっす』


「その女にはどこに行けば会えるのですか? 私も簡単に会えるものなのでしょうか?」


『会おうと思えば会えるはずです。場所はディーツ、首都ルベリン。女の名前は、エルフリーナ』


「首都ルベリン……エルフリーナ」


 明日の行き先は決まった。


 だが、ネル・フィードはエルフリーナに会うのにちょっとばかし苦労することになるのだった。

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