第313話 肉を切らせて骨を断つ

 ゴリラーバッハとネル・フィードの空中戦はついに最終局面を迎えていたッ!


 ドガッン! バキッ!


 ズドォッ! ドンッ!



 ドヒュンッ! バサァッ!!


 ギュンッ!! ギュンッ!



 バキッ! ギュンッ!!



 1度は隙を突かれ、やられたネル・フィードだったが、今はゴリラーバッハと互角のスピードで飛び回りながら、肉弾戦を繰り広げていたッ!


 ドガガガガガッ! ドヒュンッ!


 バサァッ! バサァッ!!


『ゴルルッ! こいつは驚いた。さっきは本当に油断してたってのかよ?』


 ネル・フィードは軽い溜息をついた。


『お前のエルザさんを想う気持ちに心を打たれた自分がいた。お陰で戦意が削がれてしまっていたのは事実だ』


『戦意が削がれただとぉ!?』


『だが、今はもうお前を人に戻すことしか考えてはいない。もう一度言う。人として死ぬんだ。ホラーバッハ!』



 バサァッ! バサァッ!



 ゴリラーバッハが頭を抱えながら少しづつ上昇していく。



『う、うるさい、うるさい、ぼ、僕はエルザさんと共に生きるんだあああ──────ッ!』


 ゴオオオオオオッ!!


 ゴリラーバッハの振り上げた両腕に闇が集まり、ロケット弾が完成したッ!!


凶血嵐砲撃弾ブラッディー・ロケットランチャーッ! 発射ッ!』


 ドウッ!! ドォ───ンッ!!




 ズバッ!! グオオッ!!


 ネル・フィードも両手に力を込め、ゴリラーバッハをロックオンッ!!


暗黒核滅爆砲ダーク・アトミック・バズーカ─────ッ!!』


 ギュアアアアッ!!


 ズッドォ────────ンッ!!










 ゴオオオオオオオオオッ!!!
















 ドォ──────ォォオンッ!!

















 バチバチィ──────ッ!!


 バチッ! バチィッ!!


 双方の必殺技がぶつかり合い、激しい衝突音と共に火花が飛び散ったッ!


 

 













 ドォォオ─────ンッ!!!!




 互いの拮抗したエネルギーが勢いよく弾け飛んだ。その瞬間、閃光を切り裂くようにゴリラーバッハが攻撃を仕掛ける!


『死ねッ! 覇蛇壊滅波バジリスク・ディストラクションッ!』


 ドォウッ!!


 ガアアアアッ!!


 ガブウッ!! グサリッ!!


 バジリスクの大きく鋭い牙が、ネル・フィードの右腕に突き刺さった!


『グルルルルッ!!』


 ブシュウッ!!


 さらに、唸りながら毒を注入しているのが分かった。


『バジリスク、凄い力だ。この牙はそう容易く抜けはしないな』


 ネル・フィードは慌てるどころか平然とバジリスクを見ながら、まるで勝利を確信したかのような表情をしていた。


『随分と余裕だな。その毒が回れば全身腐ってあんたは死ぬんだぜッ! ゴルルルルッ!』


『ふっ。これがバカみたいに頑丈なお前を倒す、俺の秘策ということだ』


『なんだとっ!?』


 ネル・フィードが不敵な笑みを浮かべると同時に体全体がスパークし始めたッ!


 バリバリィッ!! ズビビィッ!!


 それを見たゴリラーバッハは事の重大さに気がついたッ!!


『バッ、バジリスクッ!! 牙を抜いて離れろッ!! は、早くッ!!』



 間に合わなかった。



暗黒雷閃撃ダーク・サンダー・バーストッ!!』


 バリバリィッ!! バリバリィッ!


 ズビッシュ───────ンッ!!


 暗黒雷閃撃ダーク・サンダー・バーストはバジリスクの口から一気に宿主のゴリラーバッハの体内へ流れ込んだッ!!


『あがががががッ! な、な、な、なんだぁあとおおおおッ!?』


 ズババババババババアアッ!!


 ズバッシュウンッ!!









 ドォ──────ンッ!!


















 外部からの攻撃をすべて跳ね返す強靭な肉体。そこでネル・フィードは、バジリスクの口内からゴリラーバッハの体内にめがけ、矢のような電撃を放った。その衝撃はゴリラーバッハのあらゆる内蔵に直接、決定的なダメージを与えた!


 シュウウウウウウ……!


「あご……ごご……ぐああ……!」


 ホラーバッハの魔獣化は解け、全裸で痙攣しながら、辛うじて翼を羽ばたかせている状態。今にも転落してしまいそうだった。


 バサァッ!! バッ、バサッ!


 クラァッ、バサッ!


 それを見たネル・フィードは、体を覆うダークマターを体内に収め、マギラバ化を解除。


 ギュアアッッ! シュボッ!!


「ホラーバッハ。もう戦えない筈だ。安らかに葬ってあげますよ……!」


「この僕を安らかにだと? こ、このエゴイストめ!」


 苛つくホラーバッハは辛うじて片目を開けた。そして、その視線は地上に向けられていた。

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