第305話 キラリン☆
ダークマター生命体。その肉体は再生可能。その特殊な肉体構造ゆえ、攻撃、防御、ともに優れたスキルを保有する。
『百戦錬磨』
カテゴリー2の中でもアンティキティラ同様に最強と評されし種族。それがダークマターである。
そんなダークマターの自分がここまで翻弄されるという屈辱。
ドガッ!
ドゴォッ!
『がふっ……!』
ホラーバッハは掴んだ右手首を離すことなく、正面に回り込み、あいた右手でマギラバの顔面や
ドガァッ!! ズドォッ!
そこへ容赦なく振り下ろされる悪魔の鉄槌が、さらに意識と共に戦意をも削り取っていく。
『不覚』
その2文字が頭をよぎるのと同時に、ネル・フィードは意識を失った。
フラァ……
「あら? まだ死んではいないようだけど、ご自慢の反重力も消えてしまったようだね。僕がこの手を離せば真っ逆さまに地面に叩きつけられてグシャアってわけか。なるほど」
ホラーバッハは意識を失いぐったりとしたネル・フィードを両手で頭上に持ち上げると、黒翼を羽ばたかせ、さらに数十メートル上昇した。
バサァッ! バサァッ!
「あんたは僕たちの同志であるピンクローザさんと小濱君の崇高なるアンビジョンを踏み
ビューウウウウッ!
「そんなあんたには、誠実な懺悔が必要なんだと、僕は思う」
ビューウウウウッ……
太陽が雲に隠れ、辺りは薄暗くなる。ホラーバッハは目を見開き、両腕に力を込めた!
「あんたの存在は確実にディストピア創生の邪魔になりえるッ!」
バサァッ! バサァッ!!
「生まれ変わる世界の
グオオオオオッ!!
バギュ──────ンッ!!
ホラーバッハは地上へ向け全力でネル・フィードを投げつけた! 猛烈な落下スピード! まさに弾丸っ!
「内臓ぶち撒けて、死ねぇー!!」
キラリンッ☆
太陽が照らさない薄暗い地上。そこに太陽の如き輝き。ホラーバッハの脳は一瞬、どちらが天か地なのか混乱した。
「な、なんだあっ!? あの馬鹿みたいに眩しい光は……うぐっ!」
その光は猛スピードで上空にまでやって来た。
ギュンッ! キラリンッ☆
「お、お前は……!?」
目を細めるホラーバッハの前には、ネル・フィードを抱きかかえ、純白の天使の翼を羽ばたかせるスーパーエンジェル・アイリッサがいた。
「あなたが狂っちゃった気持ちは分かんなくもない。でも、やっぱり今のあなたを見たら、エルザさんは絶対に悲しむと思う……」
「う、うるさいッ! 僕はッ!」
ブワッ!! ブウウウウ……ン
ネル・フィードを
「あなたはもっと深く、エルザさんを愛するべきだった。そうすれば、もっと強くなれたはずなのに」
アイリッサは憐れみの瞳で、震えるホラーバッハを守護するように見つめていた。
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