第284話 ナイトスカイフォトグラファー
パリスヒルから電車に揺られ、1時間。ネル・フィードとアイリッサはシェリーモンシェリに到着していた。
写真家の男の家は駅からさほど遠くはない高級住宅街にあった。ふたりはハイドライドが教えてくれた住所に向かい歩き出した。
歩き出して15分。
住所と共に書かれていた特徴と一致する家が見えてきた。
「ぶひゃー、大きい家。まさに成功者の家じゃないですか!」
(これはひょっとして、私のヌードもめっちゃ売れるんじゃ? 撮ってもらおっかな。ぷひっ♡)
「写真家というのは、かなり儲かる職業なのですね」
(私もやってみたいものだな)
ふたりは豪邸の前までやって来た。
「では、インターフォンを押しますよ。この時間ご在宅とのことなので」
「は、はい。おなしゃーす!」
ポチッ!
フィンフォーン……
お洒落な呼び出し音が鳴る。すると、すぐに男が応答した。
『はい』
「私たちアウトドア派さんの紹介で来た者です。翼の男の件でお話を伺いたくて……」
『分りました。今開けますので』
ウイィィーン……ガラガラガラガラ
自動で門扉が開いた。
『どうぞ。玄関までお越しください』
言われるがまま、ふたりは豪邸の庭を眺めながら玄関へと歩く。
「池がありますよ。鯉がいる。高いやつですよ、あれ!」
「アイリッサさん。落ち着いて下さい。闇の能力者の話を聞きに来たんですから」
「ぷひ♡ あい、とぅいまてーん」
20メートル先の玄関に着くと同時にドアが開いた。
ガチャリ
出てきた男はユニキュロのグレーのポロシャツに白のパンツ姿。無駄にお金持ち感を演出しない服装だった。
「こんにちは。どうも。ナイトスカイフォトグラファーの、みちのあかりと言います」
「こんにちは。アークマーダー・ネル・フィードです。今日はよろしくお願いします」
「こんにちは。アイリッサと申します。よろしくお願い申し上げます」
(こーんな豪邸に住んでるのに服はユニキュロ。これぞ金持ちの余裕。いーんじゃない!)
「ネル・フィードさんとアイリッサさんですね。どうぞ、お上がり下さい」
ふたりは初の豪邸に緊張しながら足を踏み入れた。目の前には、自分たちの部屋と同じくらいの広さの玄関。
「では、ここで靴を脱いで下さい。おふたりは普段、ご自宅は土足派ですか?」
「いえ、靴は脱ぎますよ。不衛生ですからね」
「私の家も子供の頃は土足でしたけど、靴を脱ぐようになりました。絶対にその方がいいですよね!」
ふたりが靴を脱いで玄関を上がると、2匹の猫がやって来た。白猫と黒猫だ。アイリッサの足元にじゃれついてきた。
「にゃー」 「にゃおにゃお」
すりすり
「ぷひー♡ 超かわいい。おいで〜。わー♡ すごい人懐っこいですね。名前はなんなんですか?」
「白い方がレイシアで黒い方がアリシアです。私の好きな小説に出てくる登場人物から名前を拝借したんですよ」
「へえ、そうなんですね」
「で、その小説を書いているのがジャポンの小説家『みちのあかり』なのです。私が仕事の時に使っている名前はそれを拝借しているというわけです」
「そういうことでしたか。かなりのファンなのですね」
「ええ。小説と写真。形は違えど同じ表現者として尊敬してますのでね。プランツの『みちのあかり』として活動させてもらっていますよ。では、こちらへどうぞ」
ナイトスカイフォトグラファーみちのあかりが見た闇の能力者とは一体どのような人物だったのか?
そして、アイリッサはヌードの写真を撮ってもらうことになるのか?
知らんけど。
「知らんのかーい! ぶぅ!」
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