第269話 エンジェル

 ビキビキビキキキキッ!!


 この音……ネル・フィードは聞き覚えがあった。そう……ピンクローザの闇の能力っ!


 『ダーク・オブジェクション』


『ま、まさかっ!?』


 ネル・フィードは目を凝らし、その悪魔の糸の出どころを辿った。だが、既に予想はついていた。










 ビキキッ!! ビキキキキッ!




『ア、アイリッサさん……!!』



 予想通り、インフィニット・ステアケースに突入後、具合が悪くなり階段の影で寝ていたアイリッサが悪魔の糸を放出していたのだっ!


「ネ、ネルさんだよね? 見た目が全然違うけど……」


『すみません……エクソシストの力を使うと……』


「そんな事どうでもいいですよっ! 倒さないとッ!! そのッ! どっから出てきたんですかっ!?」


 実はマレッドよりもアイリッサの方がデリカシーがなかった。


「あがが……わ、私がブスだとぉ……? ぐええっ! 苦しっ……」


 可憐の首に巻きついた悪魔の糸ダーク・オブジェクションが更に首に食い込むッ!


『わ、私は……女、子供に手を出す事に……どうしても抵抗があるんですよ……」


「あらら……ネルさんてば超優しいね。そんなブス子ちゃんにもそんな事言うなんて……ブスは殺しても神様は許してくれるんだよ。知ってました?」


 アイリッサの様子がおかしい。確かにデリカシーのないところもあったりする彼女だが、その言葉には熱がないのだ。


『ア、アイリッサさん?』


「ネルさんが殺らないならね……私が殺るよ……そのブスッ!」




 ギュルギュルギュルッ!!


 ググググゥッ!!



「がっ!! げええええええっ!!」


 アイリッサは更に強力に可憐の首を締め上げたッ!




 ブチッ!!


 ブシャアアアアッ!!




 ボトリッ……!


 可憐の頭部が床に転がった。その顔は苦痛に歪み、更に醜いものになっていた。


 ネル・フィード、小濱宗治、思いは違えど、共に目の前で起きた事に言葉を失っていた。



「か、可憐……な、なんて事……で、でも、なんて可愛い顔なんだ……♡」


『な、なにが起こったッ! アイリッサさんっ! なにがっ!?』



 ドサッ!


 可憐の体も床に転がった。


 小濱宗治は頭のない可憐に駆け寄り、パンツを下ろして確認した。


「や、やっぱり毛なんて生えてなかったじゃないかあっ♡ あはははッ! やったー! やったー!」


 ネル・フィードは半狂乱の小濱宗治を見ながらアイリッサに問う。


『アイリッサさん……あなた……まさか本当に悪魔の繭に包まれた影響で……闇の……』


「ブーッ! 残念でしたっ! 私、またまた確信しちゃったんですよね!」


 アイリッサはいつもの調子で話し出した。

 

『悪魔の臭いが分かる……それ以外にもなにか?』


「はい。実は……私ってば……なんと……」


『……なんと?』
















使が使えるみたいなんですよっ!! ぷひひ♡」







『……て、天使ッ!?』


 ネル・フィードは思った。


 この第3ミューバはヤバいと。


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