第255話 Let’s go to college!

 ネル・フィードとアイリッサは、闇の能力者の可能性のあるジャポンの留学生を見つけるべく、アイリッサの弟の通う大学に早速向かうことにした。


「それではハイドライドさん、ありがとうございました。私とアイリッサさんは弟さんの大学へ行きますので」


「じゃあねー!」


「待って! 待って! 待ってくださいよっ! 兄貴ッ!」


 慌ててネル・フィードに声をかけるハイドライド。


「まだなにか?」


「兄貴は急いでるんですよね?」


「もちろん」


「だったら車出しますよっ! 送りますってっ! そのぐらいさせて下さいよッ!」


「本当っ!? ラッキー! ネルさんっ! ハイドラ君の車って超かっこいいんですよ! えーと? なんて車だっけ?」


「ふっ、ワルキューレRXだ。アイリッサ、本当は君をデートに連れて行く為に買った新車なんだぜ」


「へえ。そうだったんだ」


「おうっ! 内装にも結構こだわって……」


「私、車にお金つぎこむ人って好きくないんだよね〜。特にマフラー付け替えて大きな音出すバカ? ぶっ殺したくなるよね!」


「え? あ、ああ、そうだな」

(あぶねぇ。やろうとしてた……)


 なにはともあれ、ハイドライドの新車でアイリッサの弟の通っている大学に行くことになった。 



 ブキュキュキュッ!!


 ブオォンッ!!!


「じゃあ、兄貴ッ! シートベルトして下さいね!」


「こ、これですか? えっと、こうですね?」


 カチッ!


「オッケーです兄貴♡ じゃあアイリッサ! 弟の大学、バドミールハイム自由大学だな?」


「そうでーす!」


「おっしゃ! ぶっ飛ばしていくぜぃっ!!」


「ハイドライドさん。安全運転でお願いしますね」


「はい! ではセーフティードライブで行かせてもらいますっ!」


 ハイドライドのワルキューレRXはゆっくりと走り出した。



 ブブゥゥッンッ!



 その車内、アイリッサがネル・フィードに聞いた。


「あっ、そういえばネルさん! 昨日の夜、ちゃんと忘れずにメルデス神父と会ったんですか?」


 ギクリッ!


 自分の話し方が悪かった為か、メルデス神父の機嫌を損ねてしまった。などとは言えない。怒ってぶうぶう言うに決まっている。


「ええ。とても有意義な時間を過ごさせてもらいましたよ。神とは祈りの中にある、自己との対話に寄り添ってくれる存在であると、神父は仰っていました」


「さっすがメルデス神父っ! だから神は必要なんですぅ! モライザ教は尊いんですっ!」


「そうですね……」

(だが、奴の目は明らかに人を殺している目。闇の能力者リストには入る存在だ。アイリッサに言ったら激怒しそうだが……)



「さっ、着きますよ! 兄貴」


「着いた着いたっ! ネルさん、ここですよ! 弟の大学っ!」



 30分後、3人はバドミールハイム自由大学に到着。ここに悪魔の力を持つ、闇の能力者がいるっ!


 かも知れない。


「じゃあ俺、親父に呼ばれてるんで一旦工場に戻るっす! 帰りも必要なら迎えに来ますんで呼んで下さいっ!」


「はい。ありがとうございます」


「じゃねー! ハイドラ君っ!」



 ブォンッ!!


 ブブゥゥッンッ!!


「それじゃあ! 兄貴、お気をつけてっ!」


 ブブゥゥッンッ!!


 ブウウウゥゥン……!


 ハイドライドは帰って行った。





 ザッ……!!



「では、行きますかっ!」


「ジャポンの留学生、絶対に見つけちゃうもんね♡」


 2人はキャンパス内へと入って行った。

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