第243話 大魔司教
シュボォォッ!! ボォオォッ!
『わ、私のダークソウルがっ! 悪魔の力が魂から押し出されっ……」
シュウウッ! ボオオオオウッ!
ピンクローザの胸から燃え上がる炎は、悪魔の力の根源ダークソウル。ピンクローザの『本当の自分』が目覚めたことにより、魂から押し出された。
その大きさはさらに増していく!
「ローザっ! ネル君ッ! なんとかできないのッ!?」
マレッドが半泣きでネル・フィードに懇願する。
『はい! やってみますッ!!』
(今ならブラックホールがかき消されることはないだろう。あの炎、ダークソウルを吸い取る!)
ギュガガガガッ!! ブォウッ!
『ブラックホール・サクションッ!』
ピンクローザの胸から燃え上がる黒い炎に向けて、ネル・フィードはブラックホールの渦を放ったッ!!
ズゴゴゴゴォォオッ!!
『きゃああああ──────ッ!!』
悲鳴を上げ苦しむピンクローザ。
どんどん黒い炎はブラックホールに吸い込まれていく! 吸っても吸っても燃え上がる黒い炎だったが、5分程かかってようやく消え去った。
シュウウウウウ……
白目を剥き、立ち尽くす彼女だったが、髪の色も鋭く伸びていた爪も、元の美しいものに戻っていた。
『マレッドさん、終わりましたよ。さっきの炎、あれが悪魔の『闇の力』の正体、ダークソウルなのでしょう』
「ダークソウル? ピンクローザの魂に悪魔の力が注ぎ込まれていたってことか?」
『そういうことです』
ズオオオオオオンッ!
ネル・フィードはダークマターを体内に引っ込め、元の姿に戻った。
「ネル君、エクソシストの力を使うと見た目も変わるんだな。目が覚めたら知らない人がいたから驚いたよ」
「驚かせてすみません」
「そこの繭って、まさか、アイリッサッ!?」
「おっとっ!! そうだったっ!!」
ペリペリ……ペリペリ……
内側から繭が破られている音がするっ!
「ちょっとぉっ! アイリッサは大丈夫なんでしょうねー!? 悪魔になってたりしないよね?」
「まさか、そんなこと……」
バリバリバリバリッ!!
繭が破られ、中からアイリッサが自力で出てきたッ!
ズボンッ!
「ぷっはあっ! 出られたっ! 急に繭が柔らかくなったんですよ。でもこの中、案外気持ちよかったですけど。えへへ」
「アイリッサァッ!!」
マレッドは駆け寄り、アイリッサを抱きしめた。
「マレッドさん。あれ、ピンクローザさん、白目剥いて立ってますけど、大丈夫なんですか?」
「今さっき、ネル君がローザからダークソウルを吸い取ってくれたんだ。多分、元のローザに戻ってるはずなんだが……」
「さっすがネルさんっ! エクソシストはやっぱり最強ですよねー!」
ギョロリッ!
ピンクローザの意識が戻った。その大きな目で周りを見渡す。
「ロ、ローザ……分かる?」
「姉さん、私は……」
「ローザ? 元に戻った?」
「私はマリオネットじゃなーい!!」
「ひえっ! まだダメなのぉっ!?」
そんな2人をネル・フィードは微笑みながら見ていた。
「冗談よ。悪魔の力、なにも感じないもの。素敵な高揚感もなくなってるし、単なる人間に戻ってしまったみたいね。つまらないわ」
「なに言ってんのよ! バカッ!!」
バシッ!
マレッドは思いっきり、ピンクローザにビンタした。
「いったぁ。姉さんは私に向かってバカとか絶対に言わない人だと思っていたわ」
「ご、ごめん。ローザはバカじゃないよ。でも、今回のことはバカかな〜って……」
「ありがと姉さん。私はバカよ。そして、とても弱い人間だった。そんな自分から目を逸らして強がって生きてきた。そこをつけ込まれるとか、ほんとダサすぎよね」
ネル・フィードが正気を取り戻したピンクローザに声をかけた。
「ピンクローザさん。人間、強くなれるかなれないかは、内なる自分の声に耳を傾けられるかによります。貴方はその声にちゃんと耳を傾ける事ができた。今の貴方は弱くない。強いはずです」
「ふふ。ネルさん。貴方優しいのね」
「それが男の宿命であり、義務ですらあると思っていますよ」
「それさっきのエルリッヒの話の時、私が言ったやつですね? 真似しないでくれます?(笑)」
「バレましたか。あはは」
「とはいえですよ……ネルさん」
「なんですか?」
「私は二重人格的な事で悪魔の力が定着しきっていなかった……だからこうやって元の人間に戻れた……でも」
「……はい」
「残りの5人は違う。自分の目的を果たした後、
「大魔司教……?」
「ええ。私達に悪魔の力を与え、闇の能力者を生み出した元凶……それが、大魔司教パウル・ヴァッサーマン。彼ももちろん能力者よ」
「パウル……ヴァッサーマン」
ピンクローザは話を続ける。
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