第223話 メルデス神父
モライザ教の礼拝が終わった。
ネル・フィードはこの時を待っていた。すかさず立ち上がりメルデス神父の元へ行こうとした。
「ちょっと待ってください! いきなりはダメです! 私が確認してきますから!」
アイリッサはそう言うと、メルデス神父に駆け寄り話し始めた。暫く話すとお辞儀をして戻ってきた。
「ごめんなさい。今日に限ってメルデス神父ものすごく忙しいみたいなんですよ。でも、夜の7時過ぎからなら会ってお話し聞いてくれるみたいです。どうします?」
「夜の7時? 構わない。是非」
それを聞いたアイリッサは再びメルデス神父の所へ行こうとした。すると逆にメルデス神父がこちらに来たのである。
「アイリッサさん、彼ですか? 私と話したいという方は」
「そうです。ネル・フィードさんですっ!」
「ネル・フィードさん?」
「メルデス神父、初めまして。私、アークマーダー・ネル・フィードと申します。神の存在意義について、是非あなたの考えをお聞きしたいのです」
「神の存在意義ですか。分かりました。では夜の7時にまたここに来てもらえますか?」
「今すぐは無理なのですね?」
「ええ。今日は結婚式に招かれているのです。病に苦しまれている信徒の方のお宅に訪問もしなくてはなりません。教会の修繕もあるのです。あなたとはきちんと時間を使ってお話ししたいと思います。なので、よろしいですか?」
「分かりました。では7時にまたコチラに伺います」
「では後程。失礼します」
メルデス神父は扉を開け、礼拝堂の奥に消えていった。
「よかったですね。メルデス神父はやっぱり優しいなぁ」
「……そうですね」
「じゃあ帰りましょうか。忘れてないでしょうねぇ。ジェラート奢って下さいね。もうっ、あんなに寝るなんて。これから寝る・フィードさんって呼びますからね!」
「ジェ、ジェラート奢るから許して下さい……」
「え? 本当に? やったー!」
「冗談だったんですか?」
「いーえ、本当です。私のお気に入りのお店に行きますから。ついでにランチも行きましょうね!」
「ラ、ランチも? はぁ、分かりましたよ……」
ネル・フィードはなかば強引にアイリッサとランチを食べることになった。ため息をつきながらも、自然と笑顔になっていた。
とはいえ、心の中は穏やかではない。メルデス神父と話した1分足らずで、ネル・フィードは感じ取っていたのだ。
(メルデス神父、あいつの目は人を殺してる目だ。俺には分かる。やはりモライザ教……クズか!)
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