第214話 くっそ最低人間

 上空の威無は、藤花の右手で唸る不気味な渦に恐怖していた。初見でもそれがブラックホールである事がハッキリと分かったからだ。


『な、なんなのよっ! あれで私をどうしようってのよっ!?』


 ガタガタガタガタガタ……


 威無は震えが止まらない。2メートルの巨体の怯える少女と化していた。


 バッ!!


 藤花はブラックホールを威無に向けたっ!


「ブスッ! お前をイバラちゃんから引きづり出してやるッ!!」


『ちょっ! 待ってっ!! 今すぐ出……』


 威無の震える声は藤花に届かなかった。


「喰らえッ!! ブラックホール・サクショ──ンッ!!」


 ギュガガガアッ!!

 

 ズギュアアァァンッ!!


 ブオオアァァ────ッ!!


『だ、だからっ! 待って……デ、デリートォッ!! で、できないっ! うげえっ……!?』


 ズ……ズズッ! ズズッ!


 ズルルルルルッ! ズッポンッ!!


 威無のドロドロの本体が、イバラの肉体から飛び出てきたッ!!


 その瞬間、見た目が天使イバラへと戻った肉体は、意識のないまま地上へと落下していった。


「あぁっ!! イバラちゃんっ!!」


 藤花は命の炎を消し、光速移動で落下地点へっ!


 ガシッ!!───


 1週間ぶりのイバラとの再会。ぬくもり。しかし、仕方のない事だが、イバラはブラック・セラフィムを始め、衣類の全てが威無の契約時の衝撃で破れてしまっていた為、全裸だった。


「イ、イバラちゃんの裸……」


 分かっていた。今、そんなことをしている場合ではないと。しかし、腐神をイバラの肉体から引きずり出し、もう脅威はない。後はあの泥みたいのを燃やせば終わるんだ……と。


 ほんの30秒でいい。もうこんなチャンスは2度とない。憧れのアイドルの体を舐めてみたい。


 藤花は欲望を抑えきれなかった。


「イ、イバラちゃん……!!」


 藤花は欲望のままにイバラの体にしゃぶりついた! 唇、腋、乳首、おへそ、性器、アナル。できるだけ早く、事を済ませて腐神を始末する。そう思っていた。しかし、既に1分が過ぎようとしていた。


 堪らなかった。


 イバラの引き締まっていながらも柔らかい体、汗の匂い、味。杏子のそれとはまた違う。人生で2人目の好きな人の体。比べることによりさらに高まる興奮。しかも、これは愛し合っているわけではない。


「はあっ、はあっ♡」


 レイプ。犯罪。それも承知の上で、藤花はやめられなかった。舐めては嗅ぎ、嗅いでは舐める。そしてイバラの恥ずかしい部分をスマホで撮影までし始めた。


 カシャアッ!


「こ、これ、宝物だよ。はあ、はあっ♡ わ、私って、くっそ最低人間だったんだ……!」


 チュパ、チュパッ


 そう言いながら、藤花は指についたイバラの愛液を舐め、味わった。

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