第187話 謎

 ダブルX隊、隊長ナナ・ティームース。彼女の力は、藤花と真珠の想像を遥かに超えて凄まじいものだった。


 『6,900,000X YZ』


 そして、その数字を聞けば尚の事『自分たちアンティキティラ』の力を与え、腐神をミューバから排除させるという一連の流れが、宇宙の理に乗っ取った『カテゴリー上げのゲーム』に思えてならなかった。




『宇宙の頂点ハイメイザーは何でそんな馬鹿な事を考えたの?』




『もっと他にカテゴリーを上げる方法を思いつかなかったの?』




『美咲は、陣ちゃんは、そのゲームのせいで死んだ』




『でも、私もゲームみたいに人を殺した』





「はあっ……!」


 真珠はいきどおりを含んだ溜息をついた。それを見たナナはすぐに真珠の心情を察した。


『シンジュ、理解してくれ。宇宙とは理不尽にできている。先人の築いたものにはそう容易く抗えるものではない』


「そうね。分かってるわ」


『だが私は違う。アンティキティラを捨て、ナナ・ティームースとしてここに来た。腐神もすべて私が処分してやる。上層部やミューバ担当のお偉いさん方はあまりいい顔をせんだろうがな』


「ナナ……」


 美咲と陣平の死を無駄にはできない。どんな形であれ、この世界を守らなくてはいけない。ブラック・ナイチンゲールとして今後、何ができるのかも分からない。


 今はこのナナ・ティームースの力に頼るしかない……真珠もそれだけは、はっきり理解していた。


『さて、お前たちの力はよく分かった。だがな、ひとつだけ謎なのだ』


「謎? なんなんですか?」


 藤花のその一言にナナの表情は険しくなった。


『トウカ。貴様は何者だ?』


「…………へっ?」


 ナナの言ってる事の意味が、藤花も真珠も分からなかった。『何者』とは一体どういう意味なのか?


『私は4500年生きてきて初めて見たのだ。トウカの体から噴き出す、紫色のXをな!』


「そ、そ、そ、そうなんですか?」


「な、なによっ!? 藤花の命の炎って激レアなのっ!?」


『トウカ、そのX、どんな特性を秘めている?』


「あっ、はい! 私の紫の命の炎は、変幻自在、武器に形を変えられます」


『それだけか?』


「えっ? はい。あとは特に……」


『そうか。たぶん、それだけではないだろうな。私には分かる。不吉だ』


「ふ、不吉っ!?」


「激レア通り越して、激ヤバって事なのっ?」


『紫はアンティキティラにとって終末の象徴。忌み嫌われている』


「わ、私は嫌われ者っ!?」

(チャラリー、鼻から牛乳〜……)


 紫の命の炎。自分の名前にも相まって、実は結構気に入っていた。まさかの事実に少し傷ついた藤花だった。


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