第185話 興味本位

 藤花もやって来て、生き残ったブラック・ナイチンゲールの2人が揃った。ナナは一体何を語るのか?


『シンジュ、トウカ。まずは今回の異常事態への対応、ご苦労だった。礼を言っておこう』


「いえ」


「何も解決できてないわ」


『腐神が同時期に11体。その内2体がアウトオブカテゴリーって、マジでウケるのだ』


「あは、あはは……」

(アンティキティラの人も『マジでウケる』とか言うんだ……)


『だが、私が来たからには残り4体の腐神、秒で息の根を止めてやる』


「あっ……!」

(そうか! 杏子ちゃんと加江君も攻撃対象なんだっ! ど、どうしよっ)


『今回、ハイメイザーが腐神として現れてくれたお陰で私はミューバに来られたのだ。感謝の気持ちも込めて殺処分してやるわッ!』


「あ、あ……」

(西岡さんの言ってた通りっ! 可愛い顔して悪役のおっさんだっ)


「ナナ、とりあえずはハイメイザーから殺ってもらってもいいかしら?」


 真珠はあたふたしている藤花の気持ちを察して、ナナにそう言った。


『ハイメイザーを先か。まぁ、どっちの2体からでもさほど違いはないからな。構わんぞ』


 それを聞いてひとまずホッとした藤花。真珠は続けてナナに聞いた。


「ナナ、私達に話す事が何かあるんじゃないの?」


『あ、そうだったな』


「なんなんですか? ナナさん?」


『ふむ。これはハッキリ言って私の興味本位なのだが……』


「何かしら?」


 真珠はなんか嫌な予感がした。


『お前たちミューバ人がXを使って戦っているところを見てみたいのだ』


「そ、そうきたかっ!」


「西岡さんっ! Xって命の炎の事ですよねッ!?」


「そうよ。ねぇ、ナナ。それって完全に私達で遊ぶつもり?」


『だから、興味本位だと言っている。『ガリメタ』経由でどの程度の力がミューバ人に授けられたのか。それをこの目で確認したいのだ』


「西岡さんっ! ガリメタって何ですか? 話の流れ的に『歯車のタトゥー』の事ですか?」


「たぶん、そうね」


『ミコトノホノオやらハグルマノタトゥーだとか、ミューバ人は長ったらしい名称にこだわりでもあるのか?』


「あははっ、文句はあの世の美咲に言ってよね! きっと怒るわよ、『激しく』っ!」


「そっか『ブラック・ナイチンゲール』も『命の炎』も全部美咲ちゃんが名付け親でしたね」


 ナナはソファーから立ち上がり、腕組みをしながら庭を見た。


『まずは外に出るのだ。お前達のX量を測定させろっ!』


「X量?」


「私らモルモット感ハンパないわね」


 なかなか思い通りには、動いてくれないナナ・ティームースだった。

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