第167話 神の名を持つ装置
1957年、ソ連は初の人工衛星『スプートニク1号』を打ち上げた。お気づきの通り、人類の人工衛星の歴史はまだ100年にも満たない。
しかし、実は地球の軌道上を1億3000年前から周回している衛星があると噂されているのをご存じだろうか?
それが『ブラックナイト衛星』である。地球外知的生命体が人類監視の為に設置したとも言われている謎の衛星。
その名が『異星人』弥勒院はぐれの口から出たのである。残念ながら、その存在を知っていたのは藤花だけだった。
「うふふ。本当に貴方はいろいろご存じなのですね。エーデルシュタインの名前の由来についてもすぐに『ドイツ語の宝石』と当てられましたし」
「私は宇宙については非常に興味があるんです。ハッキリ言ってダークマター生命体のあなたとこうして会話をしている事自体、とてつもなくエキサイティングなんです」
「あなたは、ブラックナイト衛星を なんだと思うのですか?」
「戦争、海洋汚染、森林破壊……そんな愚かな人類を監視しているのだと私は考えていました。もちろん、地球外知的生命体由来の物だと思っていました」
「うふふ。そこまで分かっていれば、何者がそのブラックナイト衛星を設置したかは、自ずとわかりますよね?」
「はい。アンティキティラですね?」
「そうです。ハッキリ言いましょう。あなた方ミューバの民がブラックナイト衛星と呼ぶその物の本当の名は『シヴァ』! これならみなさんも聞いた事ありますよね?」
『シヴァ? 神の名前だ。ゲロッ!』
「シヴァ、シヴァ神、ま、まさかそのアンティキティラのシヴァって……」
はぐれは藤花の言葉を待たずに話し出した。
「ええ。あなたの想像通り。腐神がこの世界に壊滅的ダメージを与えた際に、地上をその腐神ごと消しさるミューバ・リセット装置。『銀河エネルギー砲』それが、シヴァです」
「そっか……インドのマハーバーラタのインドラの矢。古代核戦争を思わせる記述。そういうの全部、シヴァの銀河エネルギー砲って事なんですねっ!」
「そういう事です」
(な、謎が解けた! 古代の超文明の核って話よりも納得できる! で、それをっ?)
藤花が聞こうとした事を、横にいた杏子が聞いた。
『あのハイメイザーの腐神は、そのシヴァを探してたんだ?』
「はい。その通りです。たぶん彼らは『シヴァの破壊』を目論んでいるのでしょう」
「ど、どれだけ地上を荒しても、人間を殺しても、自分達が消されないように?」
「赤髪さん、ズバリそういう事です。困りましたね」
こうして話をしている間にも、亜堕無と威無はシヴァに接近していたのだった。
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