第152話 フロッグマン出陣

 私と藤花はアリの巣でケーキと紅茶を楽しんでいた。


「はい! 杏子ちゃんに半分あげる」


「じゃあ、私のも半分どーぞ♡」


 美味しい♡ 楽しい♡ でも、やっぱりこんな時でも、藤花の口からは天使イバラの名前がでちゃうんだ。


「イバラちゃんのインスタ、まだ何も更新されてないよ」


「藤花、もう少し、待とうよ」

(藤花のバカッ! バカぁ……)


「そ、そうだね。焦っても仕方ないか。ふぅ」


「今日は早く寝なね。私は藤花の事も心配になっちゃうじゃない」

(元気でね。藤花……)


「ごめん……」


「ねぇ、今からうちに来ない?」

(本当に行きたいよぉ……)


「えっ!? 本当に?」


「甘いケーキのせいで、心も甘くなっちゃったなぁ……なんて」

(こんな私が今から死ぬんだよ? 藤花、天使イバラどころじゃないよね?)


「うん。行くよっ。杏子ちゃんとキス、久しぶり……」



 私たちは、残りの紅茶を飲みながら見つめ合った。藤花きゃわいいっ♡


 いかん、いかんっ!


 私はスマホを手に取り、このタイミングでフロッグマンにLINEを入れた。『5分以内に店を出る』と。




 カランカラーン!


「ありがとうございました」


 私は藤花と共にアリの巣を出た。どうしよう。やっぱ家に行って、1回藤花とエッチしてからに……



 とか考えていると。



「きゃああああ──────っ!!」


 悲鳴だ。フロッグマン、来たか。

 藤花とのエッチは諦めよ。






 ピタッ! ピタッ! ピタッ!




 来た来た。こっちに来たぞぉ。


 っておい。フロッグマン!


 歩き方がぎこちない。緊張してんじゃないよ。ミスったら殺す。



「近くに来ると更に気持ち悪いね」



 思った通り、藤花は逃げない。ビビらない。永遠の方舟の守護を信じきってるからね。フロッグマンが目の前に来ても、このセリフ、余裕だねっ♡


「そうね。早くどっかに行ってほしいんですけど」

(ちょっと恐い思いさせちゃうよ。ごめんね、藤花。さあ、喰えッ! フロッグマンッ! 私の頭をッ!)





 ガプッ!




 ブシャアアァァアッ!!!!



 バタッ……!



 うおうっ! 首がもげたー!


 けど、うん。平気ッ! でも、フロッグマンの胃の中くさ! 早くアジトに帰って吐き出して……。



 その時ッ!





 ズッドォオオオンッ!








 ズザザザザァァッ!



 なんだ?


 なんだっ? なんだっ!?


 フロッグマン、コケたのっ?


 いや、違うッ!


 ふっ飛んだんだッ!!


 なにが起きたッ!? 


 まさかっ!?


 もう来たっていうのっ!?


 観測者アンキテラの送り込んだ『力ある者』がっ!

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