第151話 アリの巣へ行こう

 ついに明日、満開のSAKURAのライブ。見てよ見てよ。まんさくのホームページ、明日のライブで『重大な報告』ってなってる!


 どうせ天使イバラの脱退でしょ? それしかない。あっはははっ!


 明日のライブはなんかちょっと楽しみだわぁ。藤花は泣いちゃうかも知れないけど、私がギュウッて抱きしめてあげる♡


 あれから毎日、フロッグマンは人間を襲っている。死体がないから行方不明事件として扱われている。警察なんかにどうこうできることではない。


 待ってろ。腐神をあと2体増やしたら、ゼロワールドの存在を公にし、世界を恐怖と絶望に染めてやる。


 ブブッ! ブブッ!


 私のスマホが鳴った。藤花からのLINEだ。内容はやはり満開のSAKURAのホームページの件だった。


『大丈夫だよ、きっといい報告だよ』


 私はそう返信した。



 翌日。


 不安を隠しきれない藤花と、ライブハウス竜巻へ向かった。新メンバー加入、メジャーデビュー。そんな『いい感じの重大な報告』を藤花は信じていた。


 でも、開演時間になって登場した満開のSAKURAには天使イバラの姿はなかった。


 メンバー姫野ミルクココアの説明、本人からのメッセージ、そのどちらにも出てきた『バミューダ病』


 完璧だった。


 私が3ヶ月前にセットした病の時限爆弾が見事に爆発ッ!


 天使イバラ、オワタッ!


 4人の新生・満開のSAKURAのライブが終わり、私はショックで足元がふらつく藤花を支えながら、ライブハウスを出た。


 藤花はすかさずバミューダ病についてスマホで調べ始めた。私も一緒に調べ、驚くフリをした。


「方舟様にお願いするしかないっ!! イバラちゃんを救って下さいって!! 杏子ちゃんもお願いっ! 急いで帰ろうっ!!」


「うんっ!!」

(無駄だよ、藤花。永遠の方舟にそんな力はない。天使イバラはね、残酷神の力により、死刑なの)











 ボフッ……!





 私は帰宅。ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。藤花、どんだけ祈ったって天使イバラの病気は治らないんだよ。死ぬんだよ。


 でも、先に私が死んじゃうんだよ?それでも藤花は『イバラちゃん』なの? ゼロワールドのフロッグマンに襲われて死んじゃうんだよ? 大好きな杏子ちゃんがっ!


 ねぇ? 私が一番だよね?


 ねえっ!?


 ねえっ! 藤花っ!!














 翌日の深夜。私はゼロワールドの本拠地にいた。鎖鎖矢餽と協力し、やっと宇宙空間の腐神とコンタクトが取れたんだ。


 鎖鎖矢餽のコンタクト能力は大したものだった。見事に私をサポートしてくれた。


『牙皇子様、これが腐神『那堕冷なだれ』でございます。凍結の力を使いこなせるようです。あとひとり、泥の腐神ともコンタクトが取れそうです』


『ありがとう。鎖鎖矢餽。じゃあ、早めに契約者を見つけて連れてきて下さい。引き続き、コンタクトの方もよろしく頼むね』


『心得ました』


 ビシュン!


 鎖鎖矢餽は那堕冷と共に姿を消した。


『で、フロッグマンもいい感じに世間を騒がせてくれてるわね』


『そうですか? ゲロッ!』


『私を殺してもらう日、決めた』


『あっ、ついに! いつですか? ゲロッ!』


『明後日! 7月5日!』


『ゲロゲロォッ! わ、分かりました! ちょっと緊張しますね! ゲロッ!』


『この前言った通り、連絡するからアリの巣の側で待機ね! 店出たら駅に向かって歩いていくから』


『お任せくださいッ! ゲロッ!』


 その時、私にひとつの考えが浮かんだ。


『フロッグマン、あんた永遠の方舟の信者か確かめる時以外は、人前で喋るの禁止ね!』


『喋る事ですか? ゲロッ!』


『そそ。『ゲロゲロ』だけの方がさ、不気味だし、怖いし、インパクトあると思うんだよね』


『なるほど。了解です。ゲロッ!』


『さて、あとは鎖鎖矢餽待ちね。ふふ。そろそろゼロワールドも本格始動だよっ!』


『そうですね。牙皇子様の理想を叶える時が近づいてきてますね! ゲロゲロッ!』


 翌日も、その次の日も藤花は眠そうだった。マジで夜中まで方舟様にお願いしてんの? 意味ないって。藤花の体の方が心配だよ。


 昨晩、腐神『那堕冷なだれ』との契約者『白雪』がゼロワールドに加わった。今夜にも腐神『底無死』との契約者は見つかるって鎖鎖矢餽は言ってた。タイミングはばっちりだ。


 私は、藤花を手筈通り、喫茶店に誘った。


「あっ、そうだ。帰りにケーキ食べに行こうよ。『アリの巣』に。疲れが取れるよ〜きっと」


「アリの巣かぁ。最近行ってなかったね。うん、行くよ」



 キタコレッ! 放課後が待ち遠しいっ! ふぅっ!





















 そして……
























 ついに……



















 私が、フロッグマンに頭を食いちぎられ、藤花の目の前で殺される時がやってきたんだッ!


 それでは次回をお楽しみに♡ ゲロッ♡ なんちゃって!

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