第114話 Death あるのみ

 ズサッ!


 断罪門を潜った5人の目に飛び込んできたのは、ひと気のない不気味な境内と、奥の本殿へと長く続く神聖な参道。


 シュ──────スタッ!

 

  スタタッ!!


 その神聖な参道の中間付近に2体の腐った神は着地。厳かな空気が一気に混沌と化す。


 ブラック・ナイチンゲールと最強の腐神が、刀雷寺の境内でついに睨み合う。



『もうミラクルは起きないよ。ズタズタのボロボロになって死んじゃって下さいねっ♡ いぇいっ!』


 アイドル腐神 斬咲は、可愛い決めポーズでウインクする。それとは対照的に殺気立つ腐神エクレア。


『我らに楯突く者には、Deathデス あるのみッ!』


 エクレアのその一言を聞いて、藤花は呆れ顔で微笑む。


「あなた、それ『死、あるのみ』って言ってるつもり?」


『なんだ、てめえっ! 文句あんのかっ!』


 藤花はさらに溜息をつき、丁寧に訂正してあげた。


「死、あるのみ。は、Onlyオンリー deadデッドって言うんだよ。残念ながら、脳みそも腐ってるみたいだね」


『てめぇっ! インテリの私を馬鹿にしやがったなッ!』


 ビッ! ビビッ! ビリビリッ!


 エクレアの剛拳が怒りで激しくスパークするッ!


「インテリの人は『てめぇ』とか言わない。インテリの意味も分かってないね」


『斬咲っ! 赤髪は私に殺らせろってッ!』


 バリバリィーッ!!


 剛拳の電圧がさらに上昇っ!


『それはダメ♡ 赤髪さんは私と戦いたいんだからっ。百歩譲ってトドメぐらいなら一緒にささせてあげるけど』


『そうかよ。じゃあ、残りは全部私が殺るぞ。文句はないな?』


 ビリビリッ! ビビビッ!


『もちろーん♡ その雷撃で黒焦げにしちゃってOKだよっ!』


『よし。それじゃあ早速……Conbatコンバット start スタートッ!!』


 シュウウウッ! 


 バリバリィッ!! バリッ!!


 ズオオオオオオッ!!


「みんなっ! 来るぞッ! 命の炎を全開じゃあーっ!!」


「了解ーっ!」


「ミラージュッ!!」


「仕留めるわッ!』


 ボォオォオオウッ!!


 4人は防御体制を整えるっ!


『キャハアッ! そんな炎、私の雷撃であっさり吹っ飛ばしてやるっ!!』


 バチバチッ!


 ズバッシュウッ!!


 あたりの空気にいかずちが走り抜けたッ!


『お前ら全員Dystopiaディストピア 送りだ────ッ!!』


 ズドンッ!!


 稲妻を宿したエクレアが、一直線に攻撃を仕掛けたのはイバラっ!!


氷結の極盾アイスシールド───ッ!!』


 バキバキ……


『おせーんだよーッ!! おらおらおらおらあーッ!!』


 ドンッ! バキッ! ズドォンッ!


 バチィッ!! ビビビィッ!!


「うわあっ! きゃあーっ!!」


 ドーンッ!


 ズザザザザァッ!!


 氷の盾が完成するよりも早く、エクレアの雷撃の乗った連打がイバラの肉体を突き抜けたっ!


「なんちゅう身のこなしっ! こやつ! 武術家じゃあっ!!」


 エクレアの動きを見て、陣平は瞬時に感じ取った! 素人ではないと。


「陣ちゃん、なに? あの腐神、拳法使いなのっ?」


「過去にその危険な技の多さで武術界から追放された拳法があったっ! その動きをあやつはしたっ!!」


「なによそれっ!?」


「壊す、殺すをいとわない、悪魔の拳法。その名を『ぬえっ!」


「ぬえっ? なんか聞いたことあるわ。妖怪よね?」


 エクレアが不思議と目を輝かせながら陣平に話しかけてきた。


『ジジイ、鵺を知ってるのか?』


「人体破壊を主とする殺人拳。闇に葬られたはずじゃが、使い手がおったとは驚きじゃっ!」


『その鵺に腐神の力を乗せられる私は最強だとは思わないか? ジジイ』


 陣平は静かに構える。


「鵺より強いぞ、陣平流はな。再び貴様ごとその殺人拳法をこの世から消し去ってやるわっ!」


『ジジイがっ! deathデス あるのみッ!』


 バシュウンッ!!


 全身に雷を纏い、エクレアも鵺の構えをとった。

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