第17章 万死一生
第113話 刀と稲妻
N県の刀雷寺には新幹線でKT府に行き、そこから
藤花は辺りを見回し、驚いた。
「こんなに閑散としたN県、見たことない……」
N県は言わずと知れた観光名所。大仏で有名な刀雷寺を始め、野生のオカピが生息する
だが、今目の前に広がる景色に人影はない。腐神が2体同時にやって来るのだから無理もない。
蝉の鳴き声すらあまり聞こえない中を、警戒しながら歩いてい行く。20分程で見えてきたのは大きな刀雷寺の門。通称『断罪門』。
その断罪門の左右の大きな柱の前には、高さ5メートルの石像がある。台座と合わせると6メートルを超える。
左の柱の前には『
右の柱の前には『
ずうーん!
「やっぱり凄い迫力。この門を潜ればその先に、腐神が……」
イバラがそう言いながら、刀神、雷神像を見上げた瞬間。
スタッ!
スタッ!
「き、斬咲っ!!」
「本当に2匹で来たーっ!」
「ぱっと見はどちらもかわいいお姉ちゃんなんじゃがのう。殺すのもったいないぐらいじゃ」
「エロジジイっ! そんな事言ってちゃだめっ!」
「ついに出たわね。腐った神!」
腐神 斬咲は、刀神像の頭上に。腐神 エクレアは雷神像の頭上に降り立つ。
「罰当たり。さっさとそこから降りた方がいい……」
藤花は静かに怒りを込め言った。
『私達より上の存在はいないの。故に罰当たりなのは私達を見下ろすこの石像ちゃんの方。ねっ? エクレアさん』
『
そういうと、2体の腐神は軽く宙に浮き、斬咲は天滅丸を鞘から抜いたッ!
『
ズバゴォッ──────ンッッ!!
「うわぁーっ! 石像をぶっ壊すとかっ! ありえなーいっ!」
「激しく激しいっー!!」
刀神像は、縦に真っ二つに割れて砕けたっ!
『じゃあ、こちらも……』
握った拳にバリバリと音を立てて電撃が
『
ズバババババババァァアッッ!!
石像が稲光に包まれたっ!!
ドガォォォ───────ッン!!
ボォオォオオッウッ!!
全員、命の炎で全身を覆い、激しく砕けた石像の破片の直撃から身を守るっ!
「許せないっ! 貴重な文化財をっ!」
怒りの藤花をよそに、腐神は薄ら笑いを浮かべ、光のない目でブラック・ナイチンゲールを見下ろす。
『さあっ! この断罪門を潜って中に入って来て下さいね♡ 私たち腐神に盾突いた罪は大きいんですから。キリリッ!』
『キャハアッ!
シュンッ!
ビシュンッ!
2体の腐神は腐臭と香水の混ざった香りを残し、刀雷寺の境内へと飛んで行った。
「行くよっ! みんなっ!」
藤花を先頭に、ブラック・ナイチンゲールも断罪門を潜るっ!
死闘が始まる。
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