第109話 ラスボス

 明日、2体の腐神を倒せば、次の相手は『残酷神 牙皇子狂魔』


 思いがけないラスボスの予告に、ブラック・ナイチンゲールの5人は鼻息が荒くなる。


「腐神って あと7匹だよね? 明日2匹倒したら残り5匹。その時点で早くも牙皇子が出てくるって、どゆこと?」


 不思議がるイバラに、藤花も激しく同意だった。


「そうだよね。まだカエル野郎もいるし、ガラクタが言ってた『ささやき』って腐神もいるはず」


 さらに、陣平も身を乗り出す。


「牙皇子、カエル、ささやき。それと、さらに2体。そのうちの1体はと言っておったのう」


「ひょっとして明日の2体の腐神より、残りの腐神は激しく弱かったり? するのかな?」


「そうかもしれないよっ! 明日の2匹の腐神が、牙皇子の最強の手駒って事じゃない?」


「イバラ、美咲。2人ともあまり楽観的にならない方がいいわ」


 真珠の低い声のトーンに、その場の空気が一瞬で固まる。


「牙皇子がラスボスと、私達は勝手に思い込んでいたのかも知れない」


 藤花が、さらに怖い事を言った。


「ク、クロちゃんよ。ワシもそれ思ったんじゃあ」


「残酷神は腐神の頂点だって、正男さんが前に言ってたじゃんっ!」


 イバラのその発言を聞いて、正男があぐらから、正座になった。


「天使さん、すみません。文献はかなり古いものです。特に今回のこの状況、何が起きてもおかしくありません。残酷神を凌ぐ存在がいたとしても、なんら不思議な事ではないんです」


「じゃあ、実はあのカエルが、あー見えて最強。なーんて可能性もなくはないの?」


「それは分かりませんが……」


「明日、斬咲と来る腐神がカエル野郎なのか別の腐神なのか分からないけど、確実に私が葬って、牙皇子を引きづり出すよッ!」


 藤花は、杏子を亡きものにしたカエル野郎こと、フロッグマンとの対決が近づいてきている事を実感し、メラメラと闘志を燃やしていた。


 明日の刀雷寺での2体の腐神との戦い。まずはそれに勝ち、生き残らなくては始まらない。


 N県、刀雷寺。


 そこには、ブラック・ナイチンゲール『最悪の1日』が、大きな口を開けて待っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る