第104話 銀河エネルギー

 世界に点在する宗教。そのうちのひとつは、カテゴリー1の精神生命体がミューバ発展の為にもたらした必要悪。


 その他の宗教は、高カテゴリー生命体や地球の人間が、それを真似て作った紛い物。そんなものにも人間はすがり、祈り、身を捧げる。


 人類はそんな中でも未来を信じ、成長し、繁栄してきた。


 がどこまで発展した状態で腐神に破壊され、リセットされたのか。それは分からない。


 今回の腐神による危機を乗り切れば、地球は今後1万年、腐神が降臨することはなく、カテゴリー7への上昇も見込める。


『今の人類を未来へ導く』


 ブラック・ナイチンゲールの戦いはそういう戦いなのだ。


「これが宇宙の理。そして、あなた方が存在する意味なのです」


 はぐれの語った『自分たちが戦う本当の意味』それを知り、一同はさらに身が引き締まった。


「私たちがやられたら、全てがなくなる。そうはさせない!」


「なんか私たち、アンティキティラのの道具みたいでちょっとムカつくけど、宇宙の理って言われちゃったら、やるっきゃないね!」


「激しく、やるっきゃない!」


「だいたいワシが思っていたようなもんじゃったな。宇宙……」


「はぐれっち! 最後にもう1個だけ聞いてもいい?」


 真珠は子供の頃からずっと気になっていたについて聞いてみた。












「はぐれっちはこの地球に……『UFO』に乗ってきたの?」






 どっか─────んっ!!






 全員の脳天に雷が落ちた。


 『UFO』


 その神秘の存在の正体が今、明らかになる。



「あー、はい。乗ってきました」


「ガルトッドってとこからこの地球に来るまで、一体どのくらいの時間がかかったの? 何万光年とかって、光の速さでも何万年ってことよね? 退屈すぎないわけ?」


 弥勒院はぐれは不敵に微笑む。


「そのへんなんですよ。この星のカテゴリーが最低の理由は……」


「教祖様、ひょっとしてワープみたいなことができるのですか?」

(ワームホールとか聞いたことがあるけど。ドキドキッ……♡)


を使える私たちは距離や時間などという、そんな概念は飛び越えて移動ができるのです。ワープ……稚拙な表現だと、そう言うのかも知れないですね」


「銀河エネルギーと先程から何度か耳にしますが……それは?」


 はぐれは溜息をついた。


「ミューバ人は、この星のエネルギーをまともに使えていないのです」


「それは私も思います。なんだか非効率だなって。すぐに枯渇する化石燃料に依存しきってますし」


「ミューバ人はもっと星の持つ大きなエネルギーに目を向けなくてはいけないのです」


「確かに。石油なんぞ、今にもなくなりそうじゃからのう。使い始めてさほど経っていないにもかかわらず……」


「カテゴリーを上げていくは、さらに太陽エネルギー、恒星こうせいの持つ莫大ばくだいなエネルギーを操れるようにならなくてはいけません。そして最後に……」


「激しく! 銀河のエネルギー?」


「その通りです。ちなみに、カテゴリー3になるにはその域に達する必要があります」


「先はまだまだ長そうだわね」


「さあ、ブラックナイチンゲールのみなさん。地球発展の為のバトン、見事に繋いで下さいね」


「教祖様もブラック・ナイチンゲールなんだから、忘れないでね!」


 イバラが念を押すように言った。


「あー、そうでしたね……」



 残る腐神、あと7体。

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