第86話 完全な敗北

 真珠はすでに腐神を倒すことよりも、美咲をこの場から逃すことを最優先に考え始めていた。



『勝てない』



 こう思ってしまったら、もう勝てない。それが戦場。真珠の思考は既にその域にまで達していた。どう足掻いても、傷つき倒れる3人と同じ運命を自分も辿る。真珠は覚悟を決めた。


『美咲っち!! 私があいつに攻撃をしているうちに逃げるんだよっ!!』


『に、西岡さんっ! ちょっと待って……!!』


 ボボォンッ!! ゴオウッ!


『シャアアッ!!』『シャアッ!!』


「はああっ! 炎神大蛇えんしんおおおろちッ!!」


 ズオオオオオオッ!!


『ギャオオォォオッ!!』


 ピピピピピピピピッ!


『これもデータに入っている。大蛇の衝撃波だな。アジリティが低すぎる。これ喰らう腐神はいないぜッ!』


 カシャンッ!!


 魔亞苦・痛の左腕にある噴射口の付属ダイヤルが不気味な音を立て回った。それはまさに新たな残虐攻撃の胎動。


『蛇使い。お前にも苦痛という名のガッチガチのペニスをぶち込んでやるよ。ご無沙汰だろうがあっ!」


 シュボオオオオッ!!


 ギャ───────ンッ!!


 噴射口から燃え上がるように放出された赤い光は、一瞬で鋭い歯を持つチェーンソーへと形を変えた。


 それを見た真珠は慌てて腐神に攻撃を放った!


炎神大蛇えんしんおおおろち焔天轟えんてんごうッ!!」


 グオオオオオッ!!


『だからのろいって言ってるだろ』


 キュイ──────ンッ!!


 ブシュンッッ!


「うわっ!!」


『どうも』


 魔亞苦・痛は攻撃が炸裂するよりも速く、足裏の加速推進駆動ブーストスラスターで瞬時に真珠の目の前に移動。


『その炎を操るエロい右手。見ていて非常にそそられるねぇ。ぶった切って、オナホ代わりに使ってやるよ』


「ちょ、や、やめ……!」


 ギャ─────ンッ!!


 ブシャアッ!! 


 ガリガリガリガリガリッ!!


「きゃあああ─────ッ!!」


 ボトリッ!


 さらに回転速度を上げた紅光こうこうのチェーンソー。あまりにもあっさりと真珠の右手は地面に転がった。


 プシュッウッ!!


「あ、ああっ! あああ……」


 ガクッ


  ドサッ!!


 噴き出る血液と共に、真珠は気を失い崩れ落ちた。


『ガガガッ! やはり、すぐに殺さずに痛ぶるのが至福だ。あと1匹ガキが居たはずだが。どこだ? 逃げやがったかのか?』


 ウィ、ウィ、ウイィィ───ンッ!


 魔亞苦・痛の追跡スコープがあたりの体温を探る。どこに隠れていても見つけ出し、性的な暴行を加えるつもりだ。


『おかしい。隠れる所もたいしてないのだが……』


 ウィ、ウィ、ウイィィーンッ!


『どこだっ? ロリっ子は最後のデザートに取っておいたのによおッ! ひんむきてぇよお!』










「ロリロボ。激しくキショい……」


 美咲は隠れていた。絶対に見つからないように。そして、ある作戦を実行しようとしていたのだった。

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