第85話 絶望感

「うああっ!! 痛ああぁいッ!!」


 魔亞苦マークツーのレーザーがイバラの左太腿を貫通。あまりの激痛に倒れ込むッ!


『ガガガ! もうお前の足は終わりだ。光のスピードでなど動けんわなぁ。後でじっくりオマン湖いただかせてもらうぜ。ガガガッ♡』



「メデューサぁ!!」


 ボウッ!!


『シャアアッッッ!!』



 ギュルギュルギュルウウゥン!!


 真珠がメデューサで落下してくる陣平を空中でキャッチ。自分の元に引き寄せた。


 ドサッ!


「陣ちゃんっ! 陣ちゃんっ!!」


「に、西岡さん、すまんのう……」


 真珠は陣平の無事を確認。テレパシーでそれを伝えるっ!


 ピッ


『みんなっ!! 陣ちゃん死んでないからねっ!!』


『よかった。で、でも私はもう役に立てない。完全に骨を砕かれちゃったよ……うああっ!』


『イバラっちッ! そんなっ……あれ? 藤花っちは? どうしたっ? 』


 真珠はあたりを見回すが、藤花の姿はない。先程の魔炎嵐撃の風圧でふき飛ばされてしまったのか? そう思いながら恐る恐る腐神の方に目を向けた。


『あっ!!』


 真珠は驚いた。


 藤花は魔亞苦・痛の背後にいたのだ。その手には破壊力を極限まで引き上げた紫炎の大剣、焔閻魔ほむらえんまが握られていた!


「ぶっ壊れろお─────っ!!」


 ギュアアアアアッ!! 


 藤花が焔閻魔を振り下ろすのと、ほぼ同時だった。


 ズビィ─────ッ!!


「おがっ…………!?」


 藤花の動きが止まった。


『俺の背後は自動防御システムにより完璧に守られているのだッ!!』


「がっはあっ……!!」


 ドサッ!


 魔亞苦・痛の自動防御システムが作動。背部に搭載されていた小銃からレーザーが発射され、大剣を振り上げ、ガラ空きになった藤花の胸部を貫通した。


 アンティキティラに強化された肉体も悲鳴をあげる。うずくまる藤花。ついに意識を失い、倒れ込む。


『あれを喰らって即死しないとはな。なんという頑丈な奴らだ。ジジイもまだ生きてやがるしッ!』


「な、なんてことっ……」


 一気に陣平、イバラ、藤花の3人が戦闘不能状態。戦闘に特化した能力のない美咲に、この状況は厳しいと真珠は判断。



『絶望感』



 真珠は押し寄せる『それ』と戦っていた。連携攻撃を仕掛けるタイミングもなく圧倒され、どこから攻めればいいのかも思い浮かばない。


 真珠は冷静さを失いかけていた。メデューサの宿る右手も震え始める。



「こ、これ、ヤヴァいわ……」


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