第77話 炸裂

 真珠は、自分の考えた作戦を2人に伝える。その間 10数秒。ライノマンは3人の動きに最大級の警戒をする。


「さっすが、西岡さん!」


「次は決めるっ!!」

(鬼ヤンマ、斧っ!)


 ザッ、ザッ、ザッ


 藤花とイバラは、ライノマンの右手と左手に分かれて離れていく。


『こざかしいっ! 今度は何をするつもりだぁっ!? フシュウッ!』


 ザッッ!!


 イバラが低い体勢で構える。


「喰らえぇーっ!!」


 ビシュンッッ!!


 ズガッ!!


『どわあっ! また光速かっ!! うっとおしいーっ!!』


 イバラの光速スライディングで、ライノマンの巨体が宙に浮くッ!


 ビシュンッッ!!


 ドズンッ!!


『ぐはあーっ!!』


 続けて、藤花が光速蹴りを腐神の腹に炸裂させるッ!


 ドオオ─────ンッ!


 吹っ飛ぶライノマンを、命の炎を操作しながらダッシュで追うっ!


 ダダダダダッダダダッ!!


 ボボォンッ!! ギュアアッッ!


「変幻自在っ!! 斧ッ!!」


 ブアオオオオンッ!!


『くっそがあああーっ!!!!』


 ズザザザザァァ!!


 蹴り飛ばされて仰向けに倒れたライノマンだったが、藤花の変幻自在の気配に気づき、素早く体勢を整えるっ!


 バッ!! 


  ドンッ!


『きやがれーっ! 赤い髪ッ!!』


「でやぁぁぁあっ!!!」


 ブアオオオオウッ!


 藤花が紫炎の大斧で斬りかかるっ!!


『それは効かんぞおおぉぉっっ!!』


「飛翔ッ!!」


 バシュンッ!!


 斬りかかると見せかけた藤花は、腐神の2メートル手前で10メートル上昇ッ!


『くそっ! 逃げんじゃねぇっ!!』


 その瞬間、ライノマンの足元の地面が隆起ッ! メデューサが一気に襲いかかるっ!!


 ボコボコボコッ!!


 ボゴオオーォン!!


『シャアアッ!!』『シャアアッ!』


『蛇が地面からっ!? ぐぬあっ!』


 ギュルギュルギュルゥゥンッッ!!


 5匹のメデューサが右手首に3匹、左手首に2匹絡みつくっ!!


『赤髪ッ! 来るなら来てみろッ! 手が無理でも足で蹴散らしてやるわあっ!』


「そろそろ、年貢の納め時よっ!!」


 イバラが、両手の命の炎を体の前で合わせ冷気を倍増ッ! ライノマンの足元に発射するッ!


 ボボォンッ! ボボォンッ!!


 ガシッ!! ゴオオオウッ!!


氷華咆哮ひょうかほうこうっ─────!!」


 ズッドォォォオ─────ンッ!!


 バキバキッ! ガチガチガチッ!


『さ、さっきとは威力が違うッ! 凍るスピードも強度もッ! ぬうおおおおっ!!』


 ガチガチッ! バキバキキキッッ!


「いっけぇー!! 藤花あっ!!」


 イバラの掛け声と共に、凍りつき動けなくなったライノマンに、藤花、必殺の一撃が炸裂するッ!



「鬼ヤンマだぁぁあ────ッ!!」


 ブアオオオオッ!!


 ボォオォオオウッ!!


 ギュルルルルルルルルルルルッ!!


 藤花の鬼ヤンマ 斧ッ! 高速回転の紫炎が唸りを上げ、腐神に向け急降下ッ!!


『なめるなあああぁあーっ!!』


 ブチブチブチッ!!


 ブチ─────ンッ!!


 ライノマンがフルパワーで両腕のメデューサを引きちぎり、防御体勢に入るっ! 再び白刃取りにいくっ!


『うおおおおおおおおっー!!!!』


 バチ──────ンッ!!


 ズゴッオッッ!!


 ベキベキベキッッッ!!


 ブシュウッ──────!!!!


『うごがあああっ……!!』


 藤花の『鬼ヤンマ 斧』は、ライノマンの白刃取りをすり抜け、脳天に炸裂ッ! 頭蓋骨を真っ二つにかち割ったっ!!


 ドッサァーンッ!!


 ビチャッ! グチャアッ!


 ブシュウウウゥゥッ!!


 頭から大量の血液と脳みそを噴き上げて、腐神ライノマンは崩れ落ちた。


『グゴゴゴゴォッ! やっでぐれだなぁ……!』


「うげっ!! やだっ! こいつ、まだ生きてるーッ!」


 怯えるイバラの足元で、死にゆくライノマンは、非常な事実を告げる。


『お、俺が消えても……ミサイルは消えない。残念だったな。お前らのひとりは……どう足掻あがいても死ぬのだ。あはっはぁ……グハッ!』


 ぶしゅううううぅぅぅ……


 腐神ライノマンが消えていく。


「ミサイルが消えないっ? 嘘っ!」


「ど、どうしたらっ!? 陣平さんッ!!」


「陣ちゃーん!!」


 消滅したライノマンの言った通り、腐核ミサイル ゲテモノは、未だに美咲を抱えながら飛ぶ陣平を追い続けていた。


 ビシュ──────ンッ!!


「くっ!! 奴を倒してもミサイルは消えんのかッ!?」


「エロジジイッ! いいよっ! 離してっ! わ、私、先に……」


「あはははっ! 美咲! ブラック・ナイチンゲール、楽しかったぞいっ!」


「な、なに? 何を言ってるの? エロジジイ?」


「かわいこちゃんのペット、なれるかのお♡」


 ガバッ!!


「!?」


 陣平はしがみつく美咲を自分から引き離すと、地上の3人に向かって叫んだ。


「美咲を頼んだぞォォォ!! さらばじゃあぁぁぁっ!!」


 ブンッッ!!


 陣平は、藤花に向かって美咲を放り投げたっ!!


「エロジジイッ────!!」



 ガシッッ!!



 藤花が美咲を力強くキャッチッ!




 クルリッ!!!


「お前はワシと来るんじゃっ!!」


 ガッシィッッ!!!


 ギュンッッ!!


 陣平は振り返り、美咲を追いかけようとするミサイルを両手で掴むと、さらに上空へ、猛スピードで飛んで行ったっ!!



「陣さぁ───んッ!!」


「じ、陣平さんっ……!」


「陣ちゃあぁぁん……!!」


「エ、エロジ……」
































 ドッカアアア────ンッ!!




















「そ、そんな……陣さんがっ!」


「陣平さんが……あ、ありえない」


「ど、どうして、こんな事……」











「エロジジ、やだっ……いやだっ! イヤダあ────ッ!!!!」


 美咲は藤花の胸で泣き叫んだ。












 










 甲賀陣平 享年74

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