第73話 サイ男

『どりゃぁぁああっ────!!』


 ドォォンッッ!!


 ライノマンの先制攻撃ッ! 


 猛烈な勢いで飛びかかる!


 その標的は『藤花』だっ!!


「飛翔っ!!」


 ギュンッッ!!


 藤花は一気に上空10メートルに飛び上がった!


『貴様、飛べるのか!? ならば、これでも喰らえっ!!』


 ジャラッッ! 


 ブンブン!! ブンブンッ!!


 ジャラララッ!!


魔鉄滅破メテオ・インパクト─────ッ!!』


 ドギュンッ!!


 鎖鉄球の猛烈な一撃が、藤花めがけて飛んでくる!


「はあああっ! 朱雀すざく反踏はんとうっ!!」


 ボボォンッ! ボォオォオウッ!!


 ガキーンッ!!


 命の炎で全身を覆い、飛んでくる鉄球を朱雀で弾き返す藤花!


「だけど、いったあいっ!」


『あ、あれを蹴り飛ばすかっ!?』


 ドンッッ!!


 落ちてきた鉄球が地面に深くめり込む!


「メデューサ! 五炎蛇縛ごえんじゃばくッ!」


『シャアアッ!』 『シャアアッ!』


 ブアオッ!! ブアオオオオッ!


 真珠のメデューサが黒の爆炎とともに腐神に襲いかかる!


 ギュルギュルギュルッッ!


『黒炎の蛇っ? こしゃくなあっ!』


 両方の手首、足首、さらに丸太のような首に、稲妻の如き速度で炎蛇が巻きつき動きを封じた!


「今よっ! 藤花っちー!」


 ギュンッッ! ドンッッ!!


 藤花が地面に着地と同時に腐神に突進っ!!


「はああっ! 青龍破天撃せいりゅうはてんげきッ!!」


 ズドドドドドドッ! 


 ズドドドドドドッ!


 ズドォンッ!!


『うおおおおおおおおおっ!?』


 ライノマンの腹に連続の打撃っ!

巨体が地面から浮き上がるっ!


「からの、朱雀昇焰すざくしょうえんッ!!」


 ブオンッ! バキィッ!!


『ぶはあっっ!!』


 ザッ! グラリッ!


 朱雀の蹴りが、アッパーのように顎に炸裂! 藤花の連続攻撃によろめく巨体ッ!


 ギュアンッッ! ボボォンッ!


「変幻自在! 炎獄斧フレイムアックスッ!」


 藤花の手に大型の紫炎の斧が握られた!


『ざけやがってっ! どらああああッ!!』


 ブチブチーッ!! 


 ブチンッッ! シュボォォンッ!!


 ライノマンは慌ててメデューサの緊縛を断ち切ったッ!


 バッ!!     


    ズドンッ!!


 後方へジャンプし、紫炎の大斧を構える藤花との距離をとるッ!


『すげぇじゃねえかよっ! 人間のくせに腐神の俺とまともに戦ってやがるぜっ!』


 シュボウッ! ガチャン!


 大斧を肩に乗せ、藤花は冷たい視線をライノマンへ向ける。


「私の必殺の打撃、あまり効いてないみたいだね。サイ男さん」


『ライノマン様と呼べ。俺の分厚い皮膚に打撃は無効。と言いたいところだがなぁ、お嬢ちゃん。多少痛みを感じたぜ。だから笑えてきたわけよお!』


「ふーん。そうなんだ。て言うかさ、もう1匹はどこ? 今日は2匹でご登場じゃないの?」


 昨日の動画で2体の腐神を送り込むと宣言していた牙皇子。藤花はライノマンと戦いながら、そのもう1体の存在にも注意を払っていた。


『1匹とか2匹とか、神を虫ケラと同じように数えるんじゃない。今日はなぁ、本来 来るはずだった2人に変わり、この俺が1人で来たのだッ!』


「なんで?」


『俺が戦いたくてウズウズしていたのに気づいて、牙皇子様が急遽、変更して下さったのだ!』


「カエルやらサイやら、牙皇子もペットの趣味が悪いんだから……」


『赤い髪! お前は確実に殺すからな。確実だ!』


 ギュンッッ!


 その瞬間、藤花は再び上空高く飛び上がった!


『ちっ! また飛びやがっ……』




「ナノレベル爆破じゃあっ!!!」



 キュウンッ!! ボボボボッ!


『なにいっ!? こ、これはっ!?』








 ドッッッガア──────ンッ!!









『うごあああぁぁぁぁっっ!!』










「陣さんのナノレベル爆破っ! 決まったぁーっ!」


 これまでの戦闘、すべて真珠のテレパシーでのやり取りの中で行われていた。完璧な連携の中、陣平のナノレベルでフィニッシュ!!


「よし! サイ男 砕け散ったあ!」


 藤花は空中でカッコよくガッツポーズを決めた!


 ズオンッ!!


『神をなめるなッ!!』


「はっ!? 嘘……っ!!」


 油断した藤花は不覚にもライノマンに背後を取られたッ!!


 ブンッ!! ドガーンッ!!


「ふぎゃっ!!」


 高く振り上げた両拳りょうこぶしが、思い切り藤花の頭頂部に炸裂ッ! 記憶が吹っ飛びそうな衝撃と共に地面に落ちていく!






 キ──────ンッ!!











「藤花あっー!!」


 ビッシュンッ!!


 ガシィィッ!!


 イバラが光速移動で地面に叩きつけられる直前の藤花をキャッチッ!



 ズザザザザッッ!



「大丈夫っ!? 藤花っ!?」


「あ、ありがとイバラちゃん。油断しちゃったよ……いてて」







 ズドンッ!!


 ジャラ、ジャラッ!!


『まったく。怪態けったいなのがお揃いだぜ……』


 ライノマンは着地し、はち切れんばかりの筋肉を躍動させ、再び、黒光りする鎖鉄球を拾い上げた。

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