第12章 アフロタワーの戦い
第68話 パワーアップ
ゼロワールドが全人類に与えた3日間の猶予。それが今日で終わる。
この2日間、犯罪は増加傾向だったが、人類は絶望しきってはいない。奇跡を信じ、今できることに全力で取り組んでいた。ブラック・ナイチンゲールの存在もそれを後押ししていた。
「今日だね、ゼロワールドの動画があがるの」
「そうだね」
藤花とイバラ、強力な腐神との戦いに備え入念に体を動かしていた。人数的にも自分たちを上回るゼロワールドとの戦い。さらに能力を上手く操れるようにしておく必要があった。
藤花は陣平が唯一教えられなかった変幻自在の『
シュルシュルルルルルルルッ!!
「天使流!
ビッシュンッ!!
「天使流? 私は技の名前考えたくらいだけど」
「えへへっ♡ 天使流ってかっこよくない?」
「わ、悪い気はしないね」
「でも、イバラちゃんがかっこいい必殺技の名前を考えてくれるからみんなテンションアゲアゲで戦えるよ♡」
「私そういうの考えるの大好きなんだよねー。でも、美咲のブラック・ナイチンゲールやブラック・セラフィムもなかなかよね?」
「ふたりとも中二病ということで」
「否定はしないよん」
そんな中二病のイバラはというと、なんと左手からも命の炎を出せるようになっていた。命の炎の二刀流。他の4人にはできない芸当だ。
シュボォォ! シュボォォ!!
「いい感じにバランスが取れるようになってきたよ!」
「いいなぁ、私がやろうとすると右手の炎が消えちゃうし」
「私だけの特別だもんね!」
そこへ陣平が、美咲と一緒に起きてきた。
「ふたりとも、やっとるな」
「陣平さん、おはようございます。美咲ちゃんも、おはよ!」
「陣さんっ、美咲っ、おはよう!」
「2人ともおはようさん」
「激しくおはようございます」
実は陣平も必殺技を編み出したと言っていたが、見せてはくれなかった。
『どうせまたエロい技でしょ』
なんてみんなで笑っていたのだが、そんなことはなかった。陣平も腐神相手に『最強』とも呼べる技を身につけていたのだ。
「おはよう、みんなぁ♡」
「あっ! 西岡さんだ!」
西岡真珠、2日ぶりにブラック・ナイチンゲールメンバーと合流。息子、麗亜を実家の両親に預けて戻ってきた。
「ごめんねっ、単独行動しちゃって」
「いえ、ゼロワールドが言った通り暴れ出さなくてよかったです。息子さんに方舟水晶のネックレスは渡せたんですね?」
「うん、ありがとう。ちゃんと首にかけてきたよ。腐神を全部倒したら藤花っちには盛大にお礼をさせてもらうわぁ♡ 食べたい物があったら好きなだけ言ってよね!」
「やった! じゃあ絶対にゼロワールド倒さなくっちゃ!」
(ラーメン、焼肉、お寿司、食べてみたい。あれ? 方舟様に対する罪悪感がなくなってる気がする。この数日、気にせずなんでも食べちゃってたからかな?)
「見てよ西岡さん! 私ってば両手で命の炎を操れるようになっちゃってさー。可憐でしょ?」
ブオオアァァッ! ボウゥォォオ!
「あらっ!? それはできないわ。でも私もね、メデューサの新たな可能性に辿り着いたのよぉ♡」
「新たなメデューサ?」
「見ててちょうだい!」
真珠は手の平を上にして漆黒の命の炎を発動した!
ボボォンッ!
『シャアアァァッ!』
「出たー! 毎度の迫力ー!」
「ここからよっ……!」
真珠は目を瞑り、メデューサの宿る手の平を空へ向けた。深呼吸をしてから目を大きく見開いた!
「
「
「うわ、西岡さんも中二病だー!!」
藤花が驚くと同時に、5匹のメデューサは空に向かって互いに巻きつきながら伸びていくっ!
ギュルルルルルルルウンッ!
バシュウ─────ンッ!!
『ギャオオオオウッ!!』
ゴオオオオオオッ!!
「デカイぞっ! これはもはや蛇というよりも龍じゃわいっ!」
「えへっ♡ 陣ちゃんもそう思う?」
「
「イバラちゃん、ひえいってなに?」
「漫画のキャラだよっ。でもやっぱり龍じゃなくて蛇だあ! こわっ!」
怯えるイバラの横で、真珠は少し浮かない表情だった。
「攻撃力は単純に何倍にもなってると思うの。でも、スピードがいまいちなのよねぇ……」
「トドメって感じですねっ!」
(西岡さんも凄いパワーアップしてる。私たち、絶対に強くなってる!)
各々が自分の力と向き合った意味のある3日間だった。そして夜、あちらもパワーアップしたであろうゼロワールドの動画がYouTubeに公開されたのである。
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