第10章 我らブラック・ナイチンゲール
第58話 炎上
さてさて、ゼロワールドのYouTubeに対抗してブラック・ナイチンゲールも動画を出そうと意気込む美咲。それにノリノリの面々。どうなりますやら。
「美咲ちゃん、本当にに撮るの? ブラック・ナイチンゲールの動画」
「激しく撮るよ。藤花さんはそんなに映りたくないの?」
「うん。激しく恥ずかしい」
「私の真似しないで下さい」
そんなこんなで動画撮影の準備が始まった。藤花は美咲がなぜか持ってた『ひょっとこのお面』を付けてスタンバイ。イバラもひとまず愛用のサングラスをかけた。真珠もマスクをし始めた。
「なんじゃ、結局イバラちゃんも西岡さんもかわいい顔を隠すのか」
「私は少し目が腫れぼったいから軽く隠そうかと……」
「なんか今日、化粧ノリが悪いわ」
「ねえ 藤花さん。ホントにそれでいいの? せっかくかわいいのに」
「私はこれで」
『ひょっとこ藤花』の意志は揺るがなかった。
「美咲っちが話してくれるのお?」
「わ、私がブラック・ナイチンゲールの産みの親だからね。とりあえず、私が代表で話すよ。でも、みんなも言いたい事があったら言っていいからね」
「分かったわ♡」
「言いたい事かぁ……」
「ゼロワールドを倒したらワシとデートしてくれるギャルを募集じゃ!」
「陣平さん。たぶん ひとりも来ませんよ。ひょひょひょ」
「クロちゃんのバカぁ。ぐすん」
「ひょっとこのお面のせいで藤花の性格が変わっちゃったぞ。あはは」
「ワシもパンティ被って変態仮面みたいにカッコよく映ろうかのう」
「誰のを被るつもりだッ!」
「イバラちゃんのダメかの?」
「やるかッ!」
「じゃあ 西岡さんはどうじゃ?」
「家に取り行ってもいいけどぉ……大きいからブカブカよ、きっと♡」
「ぶはあっ!…… 鼻血がっ!」
「はいはい、西岡さんもノリが良すぎだよ。だから調子にのるんだ このハゲてない亀仙人は。変態仮面とか知ってるのにも驚いたけど」
「ワシのヒーローじゃ」
美咲は国民に向けたメッセージをサラサラとメモ用紙に書き始めていた。
「美咲ちゃん、すごいひょ!」
(なんかお面、くせになりそう♡)
「じゃあお父さん、撮影して」
「分かったよ。もういいのかい? 準備の方は」
「激しく、OK! みんなも大丈夫ね?」
「お、OKじゃ!」
「い、いつでもいいわよ♡」
「ふうぅ。『踊ってみた』よりなんか緊張するなぁ、ははっ……」
「ひょっ!」
(私は喋らないし、お面付けてるし、なんにも緊張しないよ。ひょっとこさんありがとう)
前列に美咲と陣平、後列に藤花、イバラ、真珠と並んでスタンバイOK。
「じゃあ、撮りますよ!」
ピッ
美咲は声のトーンを落として話し出した。
「皆さん、おはこんばんちは。
「お、お願いしま〜す……」
撮影が始まると美咲以外のメンバーは驚くほど静かだった。藤花はそもそもだんまりを決めていたが、普段、威勢のいいイバラも、おちゃらけた陣平も、
ピッ
「激しくいい感じだった」
「み、美咲ちゃん! かわいいし、かっこよかったぞいっ!」
「ま、まあ、いいんじゃないか……」
「こ、これで後はやる事やるだけってとこねえ♡」
「ひょ……ひょ」
(な、なに今の。なんか最後の方、どっかの運送会社の宣伝みたいだったけど。大丈夫?)
「ありがとう、お父さん。スマホ貸して。早速YouTubeにあげようっ」
「ひょ、ひょ……」
(し、心配。見てもらえるのか、信じてもらえるのか、命の炎や髪色の能力ぐらい撮影した方がよかったのかも……)
動画公開、1時間後……
「やったあ! 10万回再生だぁ!」
「美咲ちゃん。それはいいんだけどコメント欄が……」
「あら、これは♡」
「あちゃ〜……」
コメント欄は荒れていた。
chiepin 緑の髪の女の子かわいい♡
夢羽眠 なんなのこいつら?こんな時にふざけんなよ!特にひょっとこ!
影山 ジジイのいる意味が分からん。どうせなら全員、女の子にしろ!
ソヤナー 後ろのサングラスの女の子どっかで見た事あるような気がしますね。まんさくの天使イバラに似ているような。勘違いだったらすみません
小濱 赤い髪の『ひょっとこ』の子が非常に気になるな。前にベッドで指を入れた事があるような★ヒャッハー
アウトドア派 うーん、ピンクの髪の女の人、タイプかも知れない。是非マスクを取ってもらいたいなぁ。熟女好きなんで♡
神寺 ブラック・ナイチンゲールって名前、なかなかイカしてるやないかーい!略してブラチン!(笑)僕のブラブラチンチン金髪ちゃんに蹴ってほしいなぁ♡
望月 緑の髪の少女よ!拙者も仲間に入れてください!好きです!
MarkII お前ら真っ先に殺されろ!
モアイ像 信頼などできぬ!
ブラック・ナイチンゲールの動画公開は見事に失敗。単なる『おふざけ集団』として世に広まってしまったのだった。
しかし、
「緑の髪の……私、かわいい?」
コメント欄の自分に対する多くの『かわいい』の声に少し浮かれる美咲であった。
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