第8章 死にゆく男の言葉

第49話 出陣

 ザッ……!



 ブラック・ナイチンゲールの5人は外へ。ここV県に既に降り立っているという腐神を倒すべく、気合いを入れていた。


「昨日は藤花とふたりだったけど、今日はみんないるし、全然やられる気はしないっ!」


「ごめんね、私まったく役に立てなかったから……」


「しょうがないよ。まだ力の使い方も分からない様な状態だったんだから」


「今日は、がんばるよっ!」


「藤花っち、気合い十分ね♡」


「クロちゃんはブラチン最強。いざと言うときは頼むぞい」


「エロジジイ、ブラチンってなに? 激しく気になるんだけど。ま、ま、まさか……っ?」


 美咲の顔色が、めっちゃ悪くなりかけたところで、イバラが声を張り上げた。


「よ、よしっ! みんな行くよっ! 腐神が人に危害を加えている可能性もあるし! 早く見つけなきゃっ!」


「そうね、いきましょーっ♡」


 アンティキティラが、心配を押し殺し、声をかけた。


「みなさん、気をつけて。腐神を倒したら、またここに戻ってきて下さい! 待ってますよっ!」


「分かりました。いってきますっ!」


「ワシとクロちゃんは上空から。イバラちゃん、美咲、西岡さんは軽トラで移動じゃな!」


「よーしっ! 2人とも荷台に乗ってっ!」


「あ〜楽しそうっ♡」


「激しく同意♪」


 タンッ! タタンッ!


 美咲と真珠はイバラの軽トラの荷台に乗った。


「とりあえず街中に向かうね! 陣さんと藤花は何か見つけたら教えてね! 西岡さん、テレパシーをみんなに繋げてっ!」


「あいあいさー♡」


 ピッ



「じゃあ、let's goよっ!」


「お父さん行ってくる! 激しくやっつけてくるよっ!」


「美咲、気をつけてな! ではみなさん、よろしくお願いします」



「よし! 行くぞっ! クロちゃん」


「はいっ!」








 シュ─────ゥウンッ!









 2人は上空30メートル程まで上昇。


「じゃあ! 私達も行っくよーっ!」


 イバラの軽トラも出発ッ!




 ブブゥン!


 ブゥゥゥゥウンッッ!








「どこにおるのじゃ……」


「ですね……」

(あの動画は午前中に上がっていた。今はもう4時。確実にいるはずッ!)


 イバラの軽トラは、車の走っていない道を、比較的ゆっくりと走っていく。どこから現れるか分からない相手に注意を払いつつ。


「私、らされるのは好きじゃないのよね。さっさと出てきてくれないかなぁ♡」


「激しく同意。抹殺したい!」



 ブゥゥゥン……ブブゥウン!



 20分走ったところで、陣平がテレパシーで全員に話しかけた。



 ゴロロロロロロッ! ギュル!



『おおうぅ! す、すまぬ! ワ、ワシ腹が痛くなってきたぞい。さっき飲んだ冷たいお茶のせいかのぉ。うっ!』


『陣さーんっ! 早くトイレ行ってきてーっ! もらさないでねーっ!」


『激しく同意! ぷぷっ』


『ごゆっくりー♡』


「陣平さん、大丈夫ですか? 急いでお手洗い行ってください!」


「すまんっ! あたたたたッ! えーいっ! こんな時に、ジジイ丸出しじゃあ! すっ飛ばしていってくるわい!」



 ビシュン!!



『じゃあ、車停めて陣さんの帰りを待つとしよ。あはは……』



 その時!



 ブゥゥゥ……ブブゥン!


 ブブ……ズブブブ……!


「ん? あれ? 勝手に停まっちゃった! なにこれ?」


「イバラっち!! 車が地面に沈んでいってるっ!! 早く降りてッ!!」


 荷台の真珠が叫んだっ!


「えーっ? うわっ! 本当だっ!」


 ズブズブ……ズブブブ……


 ガチャッ!!


「もうっ! なんなのよぉ!」


 イバラは軽トラから飛び出した!

 美咲と真珠も荷台から飛び降りた!





 ズブズブズブズブ……


 ズブズブブブ!





「わ、私の愛車がっ……!」


「アスファルトに車を沈めるなんて。いるのねえ。そのへんにっ!」


「腐神っ! どこっ!?」


 ズブンッ!


 イバラの軽トラは、完全に地面に沈んでなくなった。














「みんなっ─────!!! 後ろッッ─────!!」


 藤花は叫びながら急降下していた!


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