第47話 秘密
西岡真珠のピンクの髪色の能力はテレパシー。暗黒の命の炎の特性はメデューサ。どちらもインパクトは大!
「メデューサを相手の体に巻きつけて動きを封じることも可能よ♡ 5本の遠隔操作できるムチみたいにも使えるわ♡」
「西岡さんの力、すごいです!」
「ねえ、それを言うなら藤花も負けてないんじゃないっ?」
イバラは自分のことのように自慢げな表情。それに食いついたのはもちろん藤花の力を知らない美咲と真珠。
「なになに? 藤花っちのは私のよりすごいわけ? なんなのよー?」
「激しく、気になります」
ニヤニヤと笑うイバラの横で、藤花は深呼吸し、自己紹介を始める。
「黒宮藤花です。高2の17歳。闇雲病で余命は3ヶ月。昨晩、力を頂きました」
「藤花っち、3ヶ月なの? 私より短いじゃんっ!」
「そうなんです。で、私のこの真紅の髪色の能力、それは……えっと」
「早く! 藤花さんっ!」
美咲は興味津々。
「な、なんか自分では言いにくいものを命名されちゃって。言うの恥ずかしい……」
「じゃあ、私が言ってあげる。いい? 藤花の髪色の能力! それは『天才』なのよーっ!」
イバラが真顔でそう言うと、美咲も真珠もクスクス笑い出した。
「なっ、なに? 天才って! あはは! 発明王的な?」
「激しく、フラッシュ暗算が得意とか? ププッ」
「君たち馬鹿にしたな? 藤花の能力はすごいんだから! ねっ! 陣さんっ!」
「さよう。2人とも笑うのをやめるのじゃっ!」
「だってー『天才』って。じゃあ一体どんな能力なのよお」
「激しく、どんな能力?」
陣平は腕を組み、ふんっと鼻息を吐いた。
「クロちゃんはな、ひと目で人の能力を身につけることができるのじゃっ!」
「なにそれっ? 激しいっ!」
「藤花っち! 本当?」
「なんか『見たもの』が頭に寸分狂わず入ってきて、再現できちゃうんです。私的には能力コピペなんですよ」
「藤花は既に、私の光速移動と陣さんの飛翔、どっちも使えるのよ!」
美咲と真珠は目を丸くした。
「さらにその能力により、ワシが長年かけて辿り着いた武術の達人の領域にも到達しておるっ!」
真珠はなまめかしい瞳で陣平を見つめ始めた。
「ねえねえ? 陣ちゃんって武道の達人なわけなの?」
「そ、そうじゃ! 達人なのじゃ」
「すごーい♡ あとで筋肉とか型とか見せて欲しい♡」
「か、構わんよっ。ね、寝技もかけてやろうかのう?」
「すごーい♡ やってやってっ!」
美咲が慌てて割って入る。
「西岡さーんっ! エロジジイの作戦にハマっちゃダメっ! 寝技にかこつけて西岡さんの体を激しく触るつもりなんだからッ!」
(もうっ! ムカつくッ! 私の方がピチピチなんだから! 私にすればいいのにッ!)
「な、なにを言うか。美咲、ワシはな、純粋に武道というものをじゃな……」
美咲は陣平の話を遮ることにした。
「藤花さん! じゃあ
「チートって、いかさま、ごまかし、詐欺、不正行為、そういう意味だよね? わ、私、悲しく……」
凹み出した藤花を、イバラが慌ててフォローする。
「藤花、頭いいから、しっかり訳しすぎてる。ありえないとか、凄すぎる、そんな意味だから。ポジティブな意味なんだよ」
「え? そうなのっ?」
「激しく誤解ですよ、藤花さん。だから、命の炎も教えて!」
「よかった。私の紫の命の炎の特性はね、『変幻自在』だよ。美咲ちゃん」
「変幻自在? それって?」
「私の命の炎は、武器化できるの。
「武器化っ? 命の炎も激しくチート感が半端ないっ!」
「鞭? 私のメデューサとちょっと被ってるう!」
「メデューサとは全然違いますよ。武器は手からは離せないので、攻撃範囲はかなり狭いんです」
「そうなんだー。じゃあ、遠くの敵は私の担当ねっ♡」
「陣平さんに太刀まわりを見せてもらわなかったら、何も使いこなせてなかったと思いますし」
「エロジジイも役に立ったわけじゃ。あっちの方も、もう少し勃ってくれるとワシは嬉しいんじゃが……」
「陣平さん? 『あっち』ってどっちなんですか?」
「藤花っ! 聞いちゃダメ」
「あっははっ♡ 陣ちゃんたら」
「激しくバカジジイ」
「……?」
(なに? 陣平さんの、他の何が役に立てばいいの?)
藤花は果てしなくピュアだ。
「最後は私、風原美咲だよ。髪色の能力はみんなが知ってるとおり見抜く力。で、命の炎なんだけど……」
ボォオォオオ!!
美咲の右手が、美しく燃え上がる。
その色は……
「わあ♡ レインボー♡」
「綺麗だね、美咲ちゃん」
「初めて見たかも。美咲の命の炎」
「美咲らしいわい!」
風原美咲の命の炎は虹色。
「ブラック・ナイチンゲールの仕事は、主にこれで激しくこなしてた」
「で? 美咲ちゃん。その綺麗な命の炎の特性は? すごく気になるよ」
「早く教えて! 美咲」
「ひ……秘密」
「ん? なんて言ったんじゃ?」
「秘密っ!」
「ちょっ! なんで秘密にする必要があるのっ?」
「とにかく、秘密」
美咲は、頑なに虹色の命の炎の特性を話そうとはしなかった。
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