第44話 一致団結

「それでは本題に入りましょう」


 5人は、静かにアンティキティラの話に耳を傾ける。


「まずは、みなさんご存知かと思いますが、ゼロワールドについてです。彼らは『腐神』という腐った神と契約をし、肉体を提供した、人間の成れの果てです」


「私、ニュース見てなくて、職場で動画見せてもらったんだけど、あの『かえるのピョン吉』も、元は人間ってことなのかしら?」


「そういうことです」


「よくも好き好んであんな姿に。相当この世界に絶望しちゃったのね。少しだけ、かわいそうな気もするわ」


 真珠が悲しそうな顔をする横で、イバラは興奮気味に続ける。


「それを言うなら、あの髑髏の仮面の男。残酷神なんかと契約して、どんだけ世の中に絶望してんの?」


「残酷神ネル・フィード。昨晩、私が調べたところによると、腐神界の頂点に君臨していた存在だそうです」


「それで、続々と仲間というか、手下を増やしているんですね」


「本当にこの世界をぶっ壊したいわけね。こっちも負けずに仲間を増やさないと。ねっ? アンティー♡」


 それを聞いたアンティキティラは右腕の袖を捲り、うつむいた。


「歯車のタトゥーは黒宮さんに力を与えた直後に消えてなくなってしまいました。なので、もうこちらは仲間を増やすことはできないんです」


「なあに? サしゅうってことぉ?」


「サ? しゅう?」


「お父さん、サービス終了ってこと」


「あっ、サービス。そ、そうですね。サービス終了ということです」


「まぁ、私たちみたいのが5人もいれば十分よね♡ 腐神かー、さらなる快感の予感っ♡」


 西岡真珠には、まるで緊張感というものがなかった。


「西岡さんや、おぬし、お仕事がそんなに快感じゃったのか?」


「まあねぇ。でも、あまりに無抵抗だからー、最近は少し、物足りなかったかなぁー、なんて♡」


「あはは……」

(美咲ちゃん、ちゃんと能力で見抜いたんでしょうね!? 大丈夫なの? この人!?)


「その腐神っていうの相手なら、手加減無用でいいのよね? アンティー」


 笑顔の真珠の目は笑っていない。


「もちろん、手加減なんてする必要はありません。全力で倒せればいいのですが……」


「私のかわいい息子の未来を、めちゃくちゃにはさせないわ」


「息子さん、おいくつなんですか?」

(そっか、お母さんだったんだよね)


「まだ10歳なの。なのにさ、死ぬんだよ、私。信じらんない!」


「10歳、そうなんですね……」










「みなさん、私が託したアンティキティラの力。それを使って今後はこの世界を守る為に活動してもらえますか?」


 父のその言葉に反応して、美咲が立ち上がった。


「ブラック・ナイチンゲールは、激しく! 『腐神掃討集団』になります。みんなの残りの命を懸けて、この世界を守ろうではありませんかー!」


「美咲、なに党所属なのっ?」


「あっぱれ! ワシの清き一票は、美咲に投じるぞい!」


「うふふ♡ 私はもちのろんで参加させてもらうわ」


「わ、私も杏子ちゃんの仇、そして方舟様のお導きに従う!」


「そうそう、やるしかないってね!」


「ありがとうございます。ハッキリ言ってあなた方5人にしか、腐神を倒すことはできません。こんなことを言うのもなんですが、世界の命運はあなた方に懸かっているんです」


「責任重大じゃん。ふう……」


「イバラっち、気楽にいこ。私たちがやられたら終わり。それだけよ。やられないけどねーん♡」


「西岡さんってホント強いって言うかぶっ飛んでるよね。憧れちゃうよ」


「うふふ♡ 母は強いのよ」


「では、みなさんの髪色の能力、それと命の炎の特性を、ちゃんと理解しあいましょう。その方が、戦いの際に連携が取りやすいでしょうから」


「だね!」


「うん。激しく!」


「じゃな」


「おっけぇ〜♡」


「分かりました」

(西岡真珠さん。すっごく気になる! おっぱいも負けてるし……ね)

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