第43話 集結
西岡真珠のおっぱいで腑抜けになっていた陣平も、なんとか正気を取り戻し、ついに『ブラック・ナイチンゲール』の5人が勢揃いした。
「西岡さんや、あんた凄いのぉ。ワシャ赤ん坊に戻ってしまったわい!」
「その後、28歳になって西岡さんを口説きにかかってたよ。陣さん」
「すまん。記憶がないわい!」
「陣ちゃん、別に謝らなくてもいいよん。私、嬉しかったし!」
「西岡さん、あんた心も体もでっかいのお!」
「もおっ! 体がでかいはやめてあげてよぉ! これでも多少は気にしてるんだからぁ」
「いやいや、ワシは褒めておるんじゃ。この年になって新たな発見じゃわい。まさか、ポッチャリがこんな破壊力を秘めておるとは!」
「ポッチャリ、好き?」
「ハッキリ言って、好きじゃ♡」
「あはははっ! 私もおじいちゃん好きーっ♡ なんちゃってーっ!」
西岡真珠 35歳。主婦。
顔はハッキリ言ってかわいい。
『ぽちゃかわ』の彼女は、その底抜けの明るさと包容力でモテモテの人生を送ってきていたのだった。
「西岡さん、今日はパート早く終わったの? 来るの4時過ぎると激しく思ってたけど」
「そうそう! それがね。今日さぁ、朝からすごい人が来てね。食料品とか生活必需品とかをまとめて買っていっちゃったらしいのよ!」
「まとめ買い?」
「そそ! やっぱりなんかあの『ゼロワールド』ってやつのせいなんだって。で、午後は逆にだぁれも来なくって。早めに店閉めてみんな家に帰ることになったのよ」
「災害レベルのクソお騒がせ野郎どもね。ゼロワールドー!」
「じゃあ、みんな。うちに入って。お父さんが待ってるから」
美咲のその言葉に促され、総勢5人のブラック・ナイチンゲールのメンバーは、アンティキティラの待つ部屋へと向かった。
「おじゃまします」
「あっ! 揃いましたね。みなさん」
「ハロー! アンティー! あれ? 腕のイカしたタトゥーなくなってない?」
西岡真珠がすかさず気づいた。
「それも、今から話します」
アンティキティラの元に、初めて『力を授けられた』5人が集結した。
「さぁ、みなさん。座ってください」
8畳の和室。テーブルを囲むように5人が座った。
「みなさん、冷たいお茶でいいですか?」
皆の前にお茶が出され、アンティキティラも座ってお茶を一口飲んでから話し出した。
「みなさん、まずはお礼を言います。ありがとうございました。娘、美咲のとんでもないワガママを聞いてもらって」
「わはは。わしゃ全然構わんかったよ。この世の悪を成敗するなんて黄門様みたいで楽しかったからのぅ」
「私も快感だったわぁ♡ クズ人間を
「殺してるのは美咲の選んだクソ野郎共だけだし。いけるでしょ? 天国」
「激しく! イバラさんの言う通り! 私たちブラック・ナイチンゲールはこの世の『ゴミ』を掃除してるだけ。私たちの魂は浄化され、精神世界に旅立てるわけです!」
「ほほう。美咲よ、前にワシの言ったことをちゃんと理解してくれたようじゃのぉ!」
「激しく、ねっ!」
「あはは……」
(ブラック・ナイチンゲール。ある意味ゼロワールドより怖い人たちの集団なのかも。私もその一員なんですけどね)
5人の話を聞いていたアンティキティラが徐ろに話し出した。
「私は思っていました。アンティキティラの力は古代、『選ばれた人類』に与えられた。『超人』はその力でその時代を統率していた。だからかも知れません。みなさんの中に悪人を『掃除』と称して殺すことに特に『
「なるほど♡ 大昔は警察もないし、絶対的な力で支配? 統率しないとまとまらないものね!」
「うむ。悪人は文明を築きあげる上での邪魔者。道徳ある者たちの障害物として排除していたのかも知れんな」
「ふーん。アンティキティラの力がそこまで私たちの内面にも影響を及ぼしているってことなのね」
「いや、あなた方を見ていてそう思っただけです。考古学者として想像を膨らませてみたかったんですよ。では、本題に入りましょうか」
「あの……」
(わ、私は躊躇うことなく人なんて殺せないんですけど。私だけ、変?)
そんな藤花をよそに、話は本題へ突入していくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます