第7章 最強の5人

第41話 風原家へ

 静かな時間が流れている。あまり人の気配を感じない。その分、鳥の鳴き声が良く聞こえる。


 誰だって、あんなカエル人間に喰われて死にたくはない。


 午後のワイドショーも、全てがゼロワールド関連の情報を放送していた。


 時刻は、午後の3時を過ぎた。


「じゃあ、そろそろ行く?」


「うん」


「ワシは『飛翔』で行くかの」


「じゃあ、私もそうしよっかな」


「いいねえ! 2人とも空飛べて!」


 イバラは意地悪く言った。


「ワシがイバラちゃんをおぶって行ってやってもいいぞい!」


「心揺れるけど、愛車で行くよ」


「了解じゃ」

(イバラちゃん、おんぶしたかった。背中にちっぱい欲しかったのぉ……)


「イバラちゃん、気をつけてね♡」


「はーい。じゃあ、後ほどねーっ!」


 ブブブゥゥーン!! 

 

 ブゥゥゥンッ!


 イバラのカーキの軽トラは、ひと足先に出発。



「さて。ワシらも行くかの」


「長距離を飛ぶの、少し心配です」


「大丈夫じゃ。ワシがついておる。いざという時はワシがちゃんと受け止めてやるわいっ!」


「ありがとうございます」


「さぁ、先に飛んでみい。ワシはクロちゃんの後ろからサポートしてゆくっ!」


「はいっ! じゃあ、行きますっ!」


 ピョン……



 フワフワ……



「よし。とりあえず、あっちですよね? アンティキティラさんち」


「その通りじゃ」


「はっ!」


 シュン!


 藤花は、陣平から得た『飛翔』の能力で飛び立った。陣平も、興奮気味に後を追う。


「そうそう! うまいもんじゃ!」


 バシュンッ!





「ふぉおお」

(ムフフフッッッ! イバラちゃんもいないし、クロちゃんのパンティー見放題じゃあああぁあっ♡ ど、どれどれ……チラッとなっ♡)




 ボォォンッ♡


 ムチムチッ♡



「ぶはあっっ!」

(は、鼻血がっ! オッパイも大きいがお尻もこれまた……♡)


「どうしたんです? 大丈夫ですか? 陣平さんっ!」


「大丈夫じゃっ! 少し右手に向かおうかのぉ……」


「はぁいっ!」


 シュンッッ!


「これもまた冥土の土産。遠慮なく頂くのじゃ♡」



 シュンッッ!!




「陣平さんも『西岡さん』にはまだ会ったことないんですよね? 私も今から初めて会うので、少し緊張します」


「ワシャ楽しみじゃ♡ ダイナマイトボディらしいからのう♡」

(ブラチン 入って大正解じゃっ!)




 シュン!!


   シュン!!








「クロちゃんよ! 大したもんじゃ! 初めてでそのスピードとバランス。飛翔の能力もバッチリ身に付いておるっ!」


「よかった。なんか陣平さんにそう言ってもらうと、すごく安心します」


「わはは! モテモテじゃな!」


「違うと思います」



 シュンッッ!!


   シュンッッ!!




「おおっ! オンボロが見えてきたわい!」


「早い、もう着いちゃう!」


 スタッ!


  スタタッ!!







 藤花、陣平、ひと足先に風原家に到着。すると、ちょうど庭に出ていた美咲が駆け寄ってきた。


「あっ! エロジジイー♡」


「おおっ! 美咲っ♡」








 ハグッッ!!







「ええーっ!? 美咲ちゃん?」


 勢いよく駆け寄ってきた美咲は、なんの躊躇いもなく、エロジジイである陣平に思いきり抱きついた。


「美咲、少し見ない間に、またオッパイが大きくなったんじゃないか?」


「相変わらずエロいね〜! 私ぐらいだからね! ハグしてくれるのなんて! 激しく感謝してっ!」


「激しく、感謝じゃわい!」


「3日前にも同じこと言ってたし、ボケが進んだんじゃない?」


「あはははっ! かな? あははは」



「ふふっ!」

(本当の孫とおじいちゃんみたい。こんなに仲良しだったんだぁ。なんかほっこりするなぁ♡)


 じゃれあう2人に癒されている藤花に、ひとりの人物が声をかけた。


「あの〜、こんにちは〜」


「あっ! 西岡さんっ! 激しく早くないっ?」


「こんにちは〜」

(この人が、噂の西岡さん?)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る