第34話 紫の炎


 2分後、陣平は転生しかけたのエーロッパから無事に帰還した。


「まっさか自分の極めた青龍せいりゅうを喰らって、異世界転生しかける日が来るとは思いもせんかったわい!」


「ごめんなさい、陣平さん。パンティー見られた恥ずかしさと、今までしたことのないカッコいい動作のせいで、力の加減ができなくって……」


「藤花は悪くないじゃん。陣さんがパンティー見ようとするからだもん」


「おほんっ。クロちゃんよ。ハッキリ言って完璧じゃ。ワシの『四神ししん覇裏秘パリピけん』をみごとに会得したようじゃな!」


「本当ですか!? こんな感覚、今まで一度もないです!」

(パリピ? 変な名前の拳法……)


初体験しょたいけんというやつじゃな♡」


「陣平さん、ありがとうございました。これで私もゼロワールドと戦えますよー!」


 ぷるん♡


 陣平はよろこび揺れる藤花の胸を見て、股間の血流が増した。そして、言った。


「四神覇裏秘拳だけでいいのかえ?」


「他にもあるんですかっ!? ぜひ教えて下さい!」


「じゃ、じゃあ寝技とか、ワシがイバラちゃんとするのを見ておれ♡ なっ? なっ?」


「はい!」


「んもー! 藤花のバカッ!」


「え? あっ、ごめん。つい勢いで……」


「クロちゃんよ!」


「はい!」


「会得した体術とみことの炎をかけあわせれば、無限大の強さを引きだせるはずじゃ!」


「あっ! 命の炎の特性のことを忘れてました!」


「私も髪色の能力があまりにチートで忘れてたよ!」


「今度は命の炎を全解放したら右手に集中するのじゃ! ほれいけ!」


「はいっ! いきます!」


 ボボォンッ!!


「てぇぇぇいっ!!」


 ボボオオォォォオオ!!


 ボボォンッ!!


 紫の炎が藤花の全身から噴き出す!


「よしっ! そのまま右手に集中するんじゃ!」


「はいっ! ぐううっ……!」

(な、なに? 右腕が、お、重いっ!)


「どうじゃ!? なんかイメージは湧いてきたかっ?!」










「わ、分かりましたっ! こ、この紫の炎は……」


「なんだったの? 藤花」


「『変幻へんげん自在じざい』っ!」


「変幻自在って!? またチートなわけーっ?」


「でも、これ集中しすぎるとめちゃくちゃ手が重いんですけど。な、なくなっちゃう感じ……! なんで?」


「クロちゃん! 一回集中を解け!」


 シュウウウウウッッッ……


 ボボォンッ!


 藤花はみことの炎を消した。


「はあっ、はぁ、はあっ!」


「クロちゃんよ、変幻自在とはそのまんまの意味か?」


「イメージでは命の炎がいろんな武器になっていました。つるぎむちおの、そしてやり


「なるほどのぉ。命の炎を武器化できると言うわけか」


「相手に合わせて武器も変えられるって、無敵くない?」


「でも、ひとつ分からなかった」


「え? なに?」


「腕がどんどん重くなっていく、あの感じはちょっと怖かったかな……」


「ふうむ。その辺は気をつけなければいけないのかも知れんな」


「気をつける?」


「その紫の炎、相当な危険も持ちあわせているのかも知れん」


「陣さん、どういうこと?」


「ハッキリは分からん。じゃが使い手のクロちゃんが怖いと感じるほどの『なにか』がその炎には隠されているのかも知れん、ということじゃ」


「なにかが?」


「クロちゃんよ。その紫の命の炎は全開で使っちゃいかん。7、8割の力で戦え。ええな?」


「はい。分かりました」


「なーに、それでも充分すぎるほど今のクロちゃんは強い。なにせ、ワシの四神覇裏秘拳を使えるんじゃからのう! わっはっはっ!」


「陣平さん、ありがとうございます」


「どうじゃ? その紫の命の炎で、試しにつるぎでも出してみてはくれんか? やれるか?」


「やってみますっ!」


 ボボォンッ!!


 藤花は『剣』を強くイメージして命の炎をコントロールした。



「はあっっ!!」


 ズギュウウウンッ!!


 シュボオオオオオッ!!


「で、できましたっ……!」


 藤花の右手には紫の炎の剣が怪しく、そして激しく燃え盛っていた。


「お、おみごとじゃ!」


「藤花の紫の炎の剣! めっちゃ、いかしてるうー!」


「よし! クロちゃん待っておれ! 木刀持ってくるわい! 太刀まわりなんかもキチンと見せてやる! 見て覚えるんじゃ!」


「はいっ!」


 陣平は急いで本堂へ向かった。


 この後、剣、斧、槍……ひと通り陣平の太刀まわりを見て、藤花は吸収。


 自分のものにしていった。


「クロちゃんよ。鞭だけは『SMの女王様』に習っておくのじゃぞ!」


「S? M? 女王様ですか?」


「あー! もうっ! 鞭はなんとなくでも大丈夫だから! 陣さんは藤花に余計なことを言わないの!」


「てへぺろじゃ!」






 時刻は正午になろうとしていた。


 3人は昼食を済ませた。

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