第33話 達人
甲賀陣平、74歳。
彼は知る人ぞ知る武道の達人。
様々な武術を体得し、さらにそれを自分流にアレンジして唯一無二の戦闘スタイルを確立。現代の格闘技の発展にもひとやく買っている人物なのである。
藤花、イバラともに、そこまでの人物とまでは思っていなかった。
「陣さん! 絶対にもう藤花のおっぱいさわっちゃダメだからね! 分かった?」
「分かっておる。つもりじゃが、イバラちゃんとは違って ああもタワワじゃと、ど、どうしても!」
「悪かったですね。タワワじゃなくって!」
天使イバラはBカップなアイドルだった。
「いやいや、イバラちゃんの魅力はおっぱいというよりもお尻じゃとワシは思っておる!」
「や、やっぱり? そうだよね? 私のお尻ってさ、小尻でも形が抜群だと思うの! わ、分かっちゃう?」
「そのとおり! プリプリじゃ! 最高峰じゃ! 超国宝級じゃ!」
「ふふん。よきよき。じゃあ、ちゃんと藤花に武術を教えてあげて!」
「まかせておけ。久々に血がたぎるわいっ!」
(イバラちゃんはなかなかの褒められたい女子じゃな。アイドルやっとるぐらいじゃから当然か。承認欲求ってやつじゃな。かわいいもんじゃ!)
陣平は藤花とともに、庭の広いスペースに移動。精神集中を終え、構えに入る。
「よーし、よく見とけよ!」
「はい! お願いします!」
「まずは陣平流『
スウッ……!
陣平は、手を『虎の爪』のようにして、腕を大きく広げ、
「はあっ! はっ! はあっ!」
ブンッ! ギュンッ!
バシッ!! ブンッ!
「陣さん、すごっ! あれでエロくなければ超かっこいいのに……」
「来ます! 動きが寸分狂わず頭に吸い込まれていく感じです!」
藤花の髪色の能力『天才』は、やはり陣平の達人の領域にも反応した。
「続けて『
「はい! お願いします!」
「はあっ!! たぁっ! たあっ!! とうりゃっ!!」
ビシッ! ビシッ!
ブオンッ!!
ブアオッ!!
猛烈な炎を宿した朱雀の翼が、暗闇を切り裂くかのような、高速の連続蹴りが炸裂!
「うわあっ! なに今の?」
「来る来る! 身のこなしからタイミングまでどんどん入ってくる!」
「続けて『
「はいっ!!」
ズバババババババンッ!!
ブンッ!! ビシィッ!!
稲妻のように荒れ狂う龍が、大地を破壊し尽くすかの如き、無慈悲で重い連打。
「は、早すぎ! あんなの反則でしょ? ワンターンキルだってば!」
「鋭い動き。だけど、スローモーションのように脳に焼きつきます!」
「続いては『
「はいっ!」
バッ! ババッ!!
シュバッ! バシュンッ!!
正に玄武の甲羅の如き、崩れない、壊れない、無敵の鉄壁防御!
「隙が見つからない。どこから攻めればいいのか分からないってば!」
「イメージがすごい沸く。分かる、陣平さん、あなたはスゴい!」
陣平は息を整え、藤花を見た。
「ふう。まずはこんなもんか? どうじゃ? クロちゃん。できそうか?」
藤花はすでに『白虎』の構えに入っていた。陣平、イバラ、ふたりとも彼女の発する異次元のオーラに目が釘づけになる。
「おおっ! 完璧じゃ。何十年もかけて辿り着いた領域に一瞬で到達しておる。ちょっと悔しいのう!」
「すごい……JKが放つ雰囲気じゃないもん。素人の私でも分かる!」
「はっ! はっ! はあっ!! はあっ!!」
ブンッ! ブアオッ!
ブンッ! ズバッ!
藤花の白虎が空気を切り裂く!
「おほほっ! 若い分、ワシよりキレが鋭いわ! 強い強い!!」
「はぁあ……!」
「藤花、目つきまで変わってる。陣さんの技、身のこなしだけじゃなくて、精神力まで会得したの?」
「続けて『朱雀』行きます!!」
「うむ! やってみい!」
「たぁっ! たあっ!! はッ!」
ズバッッ! ギュンッ!
ブンッ! ズバンッ!!
「うわわっ! さっきの陣さんとまったく変わらない迫力じゃん!」
「いやいや、ワシを超えとるよ。そ、れにしても〜、もう1回、朱雀いってみようかのぅ♡」
陣平の顔は明らかにエロかった。
「えっ? あっ? ああっ!!」
藤花は気がついた。はっきりと。
「ありゃ? ダメかのぉ?」
「パンティー見ましたねっ!? このエロジジイーッ!!」
「バ、バレたぁ〜!!」
「『青龍』いっちゃいますッ!」
「や、やめてっ! ねっ!?」
「問答無用!! はあーっ!」
ズバババッッッ!!
スドドドッッッ!
「ほげっ! ふがっ! ふぎゃ!」
「た、たしけて、くらはいな……」
ガクッ!
チーン……
「陣さん、自分の技でお亡くなりならないでよ。あー、恥ずかし!」
ビシッ!
「うんっ! 完璧!!」
陣平が回復するまで暫くお待ちください。
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