第32話 決意

「あの、陣平じんぺいさん」


 藤花は決意とともに、静かに声をかけた。


「およ? どうした、クロちゃん」


「藤花?」


「あのっ、私に『武術』を教えてもらえないでしょうか!?」


「およよっ!?」


「藤花、まじで言ってんのっ?」


「うん。この能力があれば、ひょっとして陣平さんの格闘スキルも会得できるじゃないかって」


「なるほど。飛翔や光速移動を一瞬で身につける能力だし、達人レベルの武術だって、きっと身につくはず!」


「能力と命の炎。さらに体術が加わればクロちゃんは完全に『ちょうチルなラッパー』じゃっ!」


「陣さん。意味分からずに、若者言葉使わなくていいから」


「お願いします。私、強くなりたいんです。この残された命で世界を救いたい。人を救うのは神様なんかじゃなくて人……」


「あっ! それカエルから藤花を助けたときに私が言ったやつ?」


「そうだよ。確かにって、そう思ってしまった自分がいたの」


「信じている神様が藤花にはいるんだよね? それでも?」


「方舟様。今でも、もちろん信じているよ。でも、実際に目の前に現れたのは腐った神だけで、それから守ってくれる神様は……現れない」


「だいたいアニメもそう。悪くて強い『神』やら『悪魔』は出てくるけど、それを倒すのは『絶対的存在の神様』じゃなくて、非力な人間の『努力』『友情』『勇気』だもん」


「ほほほっ。正義の神様は高みの見物決め込んで、人間の力を試しておられるって事なんじゃなぁ。楽はさせてもらえんのう」


「方舟様のお導き。それにちゃんと答えたい。それが禁忌を犯した私の救い……」


「禁忌? なにをしたんじゃ?」


「藤花は、男に触っても、触られてもいけなかったの。アンティキティラの力をもらう時に手を握るでしょ? あれだよ……」


「そうじゃったのか……」


「陣さんは、そんな繊細な藤花のおっぱいをコンビニおでんみたいにツンツーンしたんだから! 反省して!」


「そ、それは貴重なモノを。ありがたや、ありがたやーじゃ」


 陣平は手を合わせ、『藤花の胸』に祈りを捧げた。



「エロジジイ、全く反省してないし」


「陣平さん! 私のこの『貴重なおっぱい』をツンツーンしたんですから、体術の指導、嫌とは言わないですよね? ねっ!? ねっ!?」


 藤花は両手でおっぱいを持ち上げて目を見ひらき、陣平に詰めよった。


 ボインっ♡


「は、はい♡ 伝授させて頂きとうございます♡ ははあ!」


 藤花のおっぱいの力は、絶大だ。

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