第34話
男たちは山道を馬で急いでいた。
盗賊の頭(かしら)のいる洞窟のアジトへと
向かうためだ。
男たちは3人連れで決して通りやすいとは
いえない山道を素早く走り急いだ。
男の1人が「ここまでくればついたも同然だな。あと半刻も飛ばせばアジトへ着く」と
言った。
その瞬間道が陥没した。
男たちはなす術なく陥没した穴に
落ちていった。
穴はかなり深く数メートルはあるだろうか。
いずれにせよ数人の人間が簡単に抜け出せる穴ではなかった。
男たちは何がおきたのかわからず穴の中に
落ちた痛みとでかなり狼狽していた。
そこへ「ああ、本当だ!姫さまが言われた
通り人間が落ちてるぜ。」と村人がやってきた。
続けて村人が「お前たちこれから近隣の村を襲おうとした盗賊の一味だろ」と
村人が問うた。
男たちは体の痛みも忘れて動揺した。
何故それを知っているのだと。
男たち(盗賊の一味)が思考を巡らせる間もなく
村人が追い討ちをかけるように言った。
「まったく村を襲おうなんてとんでもない連中だ。姫さまそうですね。」と複数人いた
村人の1人が急拵え(きゅうごしらえ)とはいえ
所々木彫りの彫刻のような飾りと彩色を
施した輿(こし)のような乗り物の上にいる
人物に話し掛けた。
「その通りです。
そのような無法な行いは何があっても許されることではありません。」と輿(こし)には御簾(みす)のようなものが前後に下げられており
その中から声が聞こえた。
3人の男(盗賊一味)は痛みが柔らかいできたこともありそのやりとりを不思議そうに見つめていた。
だが次の瞬間、御簾の内側にいた人物は
それを上げ、ややふわりと跳躍気味に降り立った。
下から見ていた男たち(盗賊一味)はまるで
天女か女神が舞い降りたように見えたに違いなかった。
それは紛れもなく女だった。
村の皆が女の尋常ならず品性と聡明さと美貌を讃えて彼女につけた愛称だった。
第34話序章 完
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