第31話

「村長、お話しがあります。」と

女は祖母(村長)に向かい言葉を発した。

「今からお話しする内容はとても信じてもらえないかもしれませんが、どうか私をお信じくださいませ。」と女は目を閉じ深々と頭を下げた。

そのあまりにも誠実な対応に村長は真剣に向き合い話を聞いた。

「本日より4日後の早朝にこの村が盗賊に襲われます。これは私が夢にて見た光景です。」

と女は言ったが村長は疑心暗鬼に陥っていた。

そこに女性が補足で「この方の夢は予知夢のようなものでほとんど的中いたします。」と

言葉を加えた。

少女も「お婆様。この方は私を助けてくれた時も不思議な力を使っていました。どうか信じてください。」と祖母(村長)に訴えた。

村長はそれらを聞き少し考えたが手でお茶を持ち口にすると気持ちを落ち着かせたのか

言葉を発した。

「おっしゃることはわかりましたが納得できたわけでありません。何か確証のようなものがおありでしょうか。」と村長は言った。

村長は孫娘やその命の恩人の言葉を信じたかったが村の者を説得し村長としての責務のためには簡単に信用するわけにもいかなかったのだ。

女は「確証はございませんが私の夢の内容が

真実かもしれない証明はできます。今より半刻の後にホトトギスが美しい声で鳴くでしょう。」と村長に言った。

ホトトギスは村の近くにも生息していたが

この時期はあまり鳴くのを聞かない。

確かにこの時期しかも時刻まで言い当てたなら偶然では片付けられない。

もたらされた情報は俄然信憑性が増す。

村長はそう考えて「わかりました。

それでは半刻後ホトトギスが流暢に鳴くまでお待ちしましょう。」と言葉を返した。

半刻ほどたち朝の微風が吹き窓から一同に

届いたとき近くの森より確かにホトトギスの

美しい鳴き声が聞こえ始めた。


第31話序章 完







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