第30話
女と女性が居間に入ると祖母(村長)が先に
座っていた。
程なくして少女(孫娘)が朝食(あさげ)を次々に
運んできていた。
女と女性は無駄のない所作にて先にいた場所に座った。
「誠に申し訳ありません。お休みになられてからさして時間が経過しておりませんが、
朝食を取られてからお休みになられた方がよいと思いました。
それに私ごとで歳をとりますと規則正しい
生活が染みついておりまして申し訳ありません。」と祖母(村長)が女と女性に話かけた。
女はニコリとして「私どもにお気遣いなく普段通りにお過ごし下さい。」と満面の笑みでそれに応えた。
運ばれてきた朝食は豪華ではなかったが質素でもなく急な来客をもてなすには十分なものだった。
女と女性は汁のお椀を手に取ると上品な仕草で汁を飲んだ。
飲んだ汁はあたたかく美味しかった。
思い起こすと昨夜からの凄まじい体験からこのかた食したものなど一切なかった。
その為か食したものが美味しく感じられたのかもしれないが何より自らと女性を歓迎しようとする村長と少女の真心が女には嬉しくありがたかった。
和やかな雰囲気で朝食(あさげ)はすすみ終わった。
朝食が終わり一息つき少女が後片付けを終え茶を皆の前に置き女の隣りに座ったところで女は女性を見て相槌をうって村長に向かい
言葉を発した。
第30話序章 完
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