第29話

女は夢を見ていた。

最初はいままでに自分の身に起きた出来事だったが、次第に夢の内容はこれから起きる

出来事へと変わっていった。

それは4日後の早朝にこの村が襲われ

傷の大男が現れる夢だった。

傷の大男は何の防備もない村を蹂躙していた。

そして傷の大男が自らを直接連れ去ろうと

襲いかかったとき女は夢から覚めた。

目を開け静かに上体を起こすと女は左手を

そっと額に添え夢の中の内容を精査した。

夢の内容は自らの身に起きたことから

今日より数日のことへと移り最後は盗賊の

襲撃に遭い自らの身にも危険が及ぶ。

そんな内容の夢だった。

そんな女の様子を先に目覚めていた女性が

心配して静かに尋ねた。

「……様、悪い夢でも見られたのですか。」

女性に声をかけられ女は着衣の乱れに気づき

上品な仕草でそれらを整えた。

そこへ少女(孫娘)が朝食(あさげ)の支度ができたと呼びに来た。

「はい、ありがとうございます。

今まいります。」と女は答え少女は客間を後にした。

少女が視界から去った後に女は精査し

まとめた内容を手短に女性に話した。

女性は少し考えたが女と見合い相槌をうって

女と女性はふんわりと上品に立ち上がると

居間に向けて歩み始めた。


第29話序章 完




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