第27話
蛇に似た女は立ち上がると傷の大男(お頭)に
向かいあることを口にした。
「お頭!ひとつ言い忘れたことがあるのですが。」
「何だ!」
「実はその女は妙な術のようなものを使い
凶暴な狼を鎮め木陰に潜んでいた私にも気づいたんですよ。わたしは気配を悟られないようにしていたんですが。」
「天女か女神というほどの女がか!?」
「はい!別段強そうには見えませんでしたから気にする必要はないとは思うのですが、
ただ妙に風格をも感じさせましたので、
念の為、気をつけてください。」
「わかった!せいぜい注意するぜ!
こちらも聞き忘れたことがある!
その女は今回俺たちが襲撃する村に必ずいるのだろうな!」
「はい!あの女が助けたのが村の重要人物の孫娘である以上、少なくとも数日は村にいるはずです!まさかそのものが自分の孫娘の命の恩人を無下(むげ)にもできないでしょう。
仲間にツナギを取ったらその後また村の様子をみてきますよ。」
「わかった!それにしても楽しみじゃないかその女は!あらゆる面でな!」と傷の大男(お頭)はこの上ない嫌らしい顔でニヤリと笑った。
「それでは後ほど」と言って蛇に似た女は洞窟を後にした。
そのころ女と女性は村の入口から村に
そこから村の中央を横切り少し外れにある
少し大きめの家に向かっていた。
家はなかなかの匠の仕事を感じさせる造りで
女が眠りについていた社ほどの造りではないが立派な家だった。
その家の入口に到着した時に娘は
「ただいま帰りました。」というと
奥の間に行き祖母らしき老女を連れて
家の入口まで戻ってきた。
老女は女に深々と頭を下げ
「孫娘が命を救われたと聞いております。
本当にありがとうございました。
どうぞ我が家で御休息ください。」
と挨拶をして招き入れた。
第27話序章 完
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