第23話

歳の頃は15、16歳くらいだろうか。

か弱い少女が2匹の大きな狼に睨まれ身がすくみ座していた。

2匹の狼は雌と雄のツガイのようで少女を鋭い眼光で睨んでいたが、すぐに飛びかかる様子ではなかった。

だが明らかに様子がおかしい。

野生の狼は食物の対象でしか他者を捉えないが2匹の狼は少女の存在自体を不快に思っているようだった。

鋭い眼光の2匹の狼は低く響く唸り声をあげながら徐々に少女との距離を縮めていた。

距離が完全に縮まりいつでも少女に飛びかかれる状態になった時、いきなり女が両者の間に立ち2匹の狼を睨みつけた。

女は睨みつけながら2匹の狼を観察した。

2匹の狼は明らかに様子がおかしい。

何かに取り憑かれているようで雌の狼はお腹が少し膨れ身籠っているようだった。

女はまず2匹の狼に取り憑いているものを祓うべく「…………」と言葉を唱えると2匹の狼に

向かい右手で空中に上から下へ断ち切りの動作を行い右手を2匹の狼に向けた。

すると2匹の狼に憑依していた悪霊のような存在が抜け出し眩い光で浄化された。

その行為により2匹の狼はキョトンとした表情をしたがすぐに雄は雌の狼を慰る態度をみせ

顔を近づけペロペロと舐め始めた。

その行動をみて安堵の息を漏らした女だが

遅れて女の位置に来た女性に何事もなくすんで良かったと心配された。

女は少し言葉を交わすと女性と共に少女の位置まで歩み話しかけた。

少女に確かめたいことがあった為だ。

だが物陰から女と女性や少女の様子を伺うものがいた。


第23話序章 完



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