第19話

女は走り急いだ。

あれに捕まれば二度と現世に帰ることができないだろう。

根拠があるわけではなかったが女には揺るぎのない確信があった。

或いは自らが体験した出来事からくる予言に近い推測であったかもしれない。

女は女性の手を引き必死で走り続けた。

だが無情にも行列は女と女性に尋常でない速さで近づいて来る。

それでも女は走り続けるしかなかった。

間近に迫った行列は巨大で女と女性に今にも襲いかかる勢いだった。

それを見た女はいったん止まり「…………」と唱えると女性ともども空中に浮き飛び始めた。

巨大な行列を真下に難を逃れた女と女性は

お互いに顔を見合い安堵の息を漏らした。

上から行列を見下ろす女は出口へと続く穴に視線を移したが女性の「…………」という言葉に再び行列に視線を戻した。

行列が鬼のような形相に変わり全体が真っ黒な色となり形態を変化させ漆黒の巨大な羽を生やしたのだ。

行動と同時に行列は女と女性に向かって飛び始めた。

その行為に驚愕の思いを抱くも女はある決断を心に下していた。


第19話序章 完







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