第13話

女はやや開けた土壌の真ん中に自分の社の中にあった木で組んだやぐらより少し大きなものを見てその側に自分と似た格好をした女性が座しているのを発見した。

女性はやぐらの方を向いたまま微動だにせずただ座していた。

女は状況を不自然に思い恐る恐る女性に近づき確認した。

女性は既に事切れていた。

ただその表情は満足そうで穏やかなものだった。

女性は知的で涼よかな印象を与える美しい人だった。

女は女性を見て懐かしさを感じ自然と涙が込み上げてきた。

女の頬を伝わる真珠のような涙は何物にも替えがたく美しいものだった。

女は「私涙を流しているの…」と頬を伝わる涙を両手の指でそっと触れた。

女はしばし頬より伝わる涙に耐えていたが

指を頬より離すと女性の体の温もりを確認した。

「まだ温かい…。」と女は言葉を発すると

ある決意を持って女性に向き直った。


第13話序章 完




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