第11話
女は過酷な体験からか記憶を失っているようだった。
いくら必死に思い出そうとしても自らの名前すら思い出せなかった。
しばらく考えを巡らせた女は周りを見渡し
戸口を見ると意を決したようにゆっくりと
女性らしい振る舞いで立ち上がり自ら上布団を胸より下げ布団を元の状態に整えた。
布団を取り除いた裸体は見るものの眼(まなこ)
を釘付けにするほどに上から下まで極上のものだった。
女は掛けてあった着物に着替えはじめたが
どのような着物も女の素の美しさには敵わなかった。
だが着る者によるのだろう赤と白を基調とした巫女装束にアクセサリーのような赤い組紐
を袖口や首元腕などにあしらい所々赤い糸の刺繍の着物は女が着る事により豪華な装束へと姿を変えた。
装束に着替え装束の内にあった櫛と手鏡で
髪をとかし長い髪を凝った編み目の組紐で結い身だしなみを整えた女は再び意を決して
戸口に向かって歩み戸を開いた。
おそらく装束と対のものであろう白を基調に赤の刺繍をあしらった草履を履き階段を降りるとこの場から離れる為に再び歩き始めた。
第11話序章 完
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