第9話

その絶世の美女は眠りについていたが正確には息をしていなかった。

女はそこに寝ている自分に触れようとしたが

触れることができず素通りしてしまった。

その事に驚いた女は他の着物ややぐらなどに手を近づけると触れることができた。

だが自らに触れることができない。

女は再び自分に視線を戻した時全てを理解した。

自らは仮死状態となり幽体となっていると。

自らが体に戻ることで目覚めることがかなうということを。

上布団からも認識できるその肢体は

非常に均整の取れた女性らしいものだった。

そう認識した直後、女は不思議な感覚にとらわれた。

仮死状態になっている自らの体に吸い寄せられる感覚だった。

女はその感覚に身を任せる覚悟を決めて吸い寄せられる方向へ向き直した。

その行動の直後、女は引き寄せられ仮死状態だった体の中へと消えた。

女が自らの体と一体化した直後、眩いばかりの金色の輝きを放ちそして静かにその眼(まなこ)を開けた。


第9話序章 完


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