素晴らしい作品でした。私事で恐縮ですが、小説投稿サイトで活動をし始めてから約一年半程経ちますが、ここまで夢中になって読んだネット小説は、こちらの作品が本当に、初めてです。続きがどんどん気になり、気づくとスマホ画面をスクロールする指が止まらなくなっていました。読み手を作品に没頭させる文章力に、脱帽いたしました。鳴沢の生い立ちが丁寧に描かれており、話の展開も全く違和感無く読み進めることができました。また、鳴沢という一人の男が、揺さぶられる感情の波に向き合おうとする度にもがき苦しむ姿、翻弄されていく様子などが、文章でここまで表現できるのかというほどわかりやすく、そして読み手の胸に痛いほど刺さり、私自身、いろんな意味で、大変勉強になりました。とても感動いたしました。この作品に出会えたこと、私にとって素晴らしい幸運でした。本当に、面白かった。是非、たくさんの方に読んでいただきたい作品です。
中学時代に先輩と後輩の間柄だった、不良少年のレッテルを貼られた鳴沢と菜々未が十年の時を経て再会するまでの物語です。
生まれ育つ環境や、出会う人々によって人生の流れは変わります。時にそれは望まない方向へ進むこともあり、深い澱みに落ちてしまうこともあります。それでも、自分を見つめることを諦めなければまた新たな流れを見付けることが出来る。
読み終わった後、そんな事をふと思い勇気を得ました。
登場人物の心の動きを丁寧に捉え紡ぎ出す文章は、悲しみや苦しみ、それを温かく包む優しさをリアルなものとして感じさせてくれます。時にハンカチが必要となるので、読む場所は是非ご注意を。
心を震わせる物語、沢山の方に味わっていただきたいです。