ロー君の思索~エネルギーはどこにある?~
~ここまでの登場人物~
私(アルファせんせー):小説家
ロー君:メンタルが小学校から卒業できてない高校生
ベータ博士:「だよぉ」って喋る物知り、博士ではない
シグマ社長:マッチョ
パイちゃん:ロー君の彼女、中学生
ガンマ教授:おじいちゃんキャラ
◇
「えっと、光とか闇とか……氷とか?」
やっとシグマ社長から解放されたと思ったら、急に話を向けられてロー君はオタオタしている。
「うんうん。それってさっきの話で言うと、どういうものかな?」
「あー、えっと」
ロー君、両手を動かして何かを表そうとしているけれど、口からは何も言葉が出ていないので踊ってるようである。
「アルファ先生、ロー君はきっと何も考えていません。」
知ってた。
うん、パイちゃんを馬鹿にしたのでちょっと意地悪しちゃったけど、その当人がフォローに入ったのでまあ許してあげよう。爆発しろ。
「アルファ先生、いま爆発しろって思わなかった?」
「いえそんなことは全く。」
さっきまでは居なかったはずのイオタ主任が突然現れて私の心を読んでくる。心臓に良くないので止めてほしい、そんなに分かりやすい表情はしていないはずなのだが。
「なるほど、光というのは電磁波そのものだから、その電磁波が強いものを光、弱いものを闇って表すことはできるね。」
イオタ主任は私のことより、話題になっている元素の方に興味があるようだ。部屋に備え付けのホワイトボードを持ってきて「光」「闇」と書き込み、矢印で結んでそれぞれに「電磁波:強い」「電磁波:弱い」と付け足していく。このホワイトボードは本来、部屋を貸し切りにしたときなんかに使うのだが、今はこの部屋にいる殆どの人がここに集まっているので問題ないだろう。
「さて、とすると……こういうことになるかな?」
同様に、イオタ主任は「火」「氷」と書いて矢印で繋ぎ「熱エネルギー:高い」「熱エネルギー:低い」とする。
「じゃあ残りはこうでしょうか?」
パイちゃんが「風ー水ー地」と並べて書き込む。それを受けてイオタ主任が矢印を全体にかかる大きなものに書き直すと、
↑高エネルギー
| 光 火 風
| ⇅ ⇅ 水
| 闇 氷 地
↓低エネルギー
こんな図が出来上がった。
「なかなかいい感じではないかな?」
シグマ社長らも頷いているが、しかしこれらを言い出したロー君がいまいち納得いかない様子で首をかしげている。
「なんか……地より風の方がエネルギーがあるっていうのが変なんだよなあ。」
「水を熱したら蒸発する、逆に冷やしたら凝固する、何も間違ってないでしょ。」
パイちゃんの指摘は最もなのだが、それでもロー君はまだウンウン唸っている。
「だってそれって地じゃなくて氷だし……!そうだ!!」
何かを思いついたのか、ロー君はホワイトボードの空きスペースに新しく図を書いていく……が、途中で手が止まる。
↑エネルギーある
| 湯 風 マグマ
| ↑ ↑ ↑
| 水 地
| ↓ ↓ ↓
| 氷
↓エネルギーない
「えっと……」
どうやら気体・液体・固体それぞれの、エネルギーが高い状態と低い状態を書き出したかったようだが……思いつかなかったらしい。
「マグマっていう元素はなかなか斬新だよぉ。」
「お湯という発想も面白くはあるんじゃが。」
ベータ博士とガンマ教授のフォローもいまいちキレが悪い。
そんな中、私はピン!と来るものがあり、カバンからガチャガチャとアイテムを取り出し始めた。
そうして皆の注目は、ホワイトボードから私の手元に移っていったのである。
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