第6話 魔王ちゃん、歯が欠ける

「体が傷ついている…。どうして…!? あ…」

バッタの群れに襲われた瞬間が脳内でフラッシュバックして青ざめてしまったのだった。


「ぎゃあああああ!」

 そして魔王ちゃんは発狂してしまった。苦しかったことや痛かったことなどを鮮明に思い出した。


「もうこんな姿じゃあ外になんて出られないよ…」

 意外と乙女な魔王ちゃんだった。


「それにしても何でワレは生きているんだろう? しかもなんでアジトで寝てるんだろうか?」

 実は魔王ちゃん、死にそうなところを誰かに助けてもらっていたのだった。その助けた人が魔王ちゃんをアジトまで運んでいたのだった。


「ん、なんだ?」

 横を見ると傷の治る薬とお菓子のチョコレートと飴玉が置いてあった。そこには手紙も一緒に添えられていた。


「えっと、なになに?」

 そこにはこう書かれていた。私はあなたを助け出した人間です。訳あって名前を教えることはできません。

 魔王ちゃんさん、バッタに襲われて大変でしたね。傷によく効く薬を持ってきたのでよかったら使ってください。

 あと飴玉とチョコレートも食べて下さい。いつもあなたを見守っています! あなたのファンより。


「知らぬ間にワレにファンがついとる!? とりあえず、ファン第一号ちゃんありがとう!」

 魔王ちゃんは助けてくれた相手の名前がわからないので勝手にファン一号ちゃんという名前をつけた。


「早速だけど、飴玉とチョコレートでも食べようかな。あむあむ…。う、美味い! これはいくらでもいけるな!」

 魔王ちゃんは飴玉とチョコレートを爆食いする。


「そうだ、悪いことを思いついちゃったぞ! 飴玉をバリバリ嚙み砕きながら粉々にして食って、そこにチョコレートも追加でバリバリしてやる! なんて悪いことを思いついてしまったんだろうか!」

 早速実行した。


「ぎゃああああ!!!」

 飴玉をガリガリしていたら歯が欠けてしまった。


「い、痛いよー!」

 痛さのあまりに泣き始めた。散々な目に会う魔王ちゃんだった。だが、自業自得である。


「と、とりあえずゆっくりするか…」

 ボロボロの魔王ちゃんは寝転んでボロ小屋(アジト)の天井を見つめるのだった。


「あー、まったく最近の自分は散々だ。というより生まれてきてから散々な目にしかあってないような気がするな。本当なら今頃、世界征服が終わっている予定だったんだけどなー。自分の人生って何なんだろうな。ああ、魔王生か…」

 急に虚無な時間を過ごした魔王ちゃんなのであった。そのまま1日が終わってしまった。


~つづく?~

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