第5話 魔王ちゃんお目覚め

チュンチュン♪(鳥のさえずり)

「いたたぁー…。何か全身あらゆる場所が痛いよぉ…。何でこんなところで寝てるんだっけ?」

 魔王ちゃんが目覚めたのは勇者ちゃんにタックルを食らってから3日後であった。


「しかも何でアジトの前で寝てるんだろ? なんか重要なことを忘れているような気がするなぁ…。まあいいや、よく分からないけど早くアジトに入って2度寝しよ」

 魔王ちゃんはタックルを受けた衝撃で3日前の記憶が全て吹っ飛んだのだった。


ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ…

「それにしても腹が減ったな。寝る前にバッタでも捕まえて腹ごしらえするか」

 魔王ちゃんは、虫かごと虫取り網を持って原っぱへ出掛けた。


「いたぞいたぞ! バッタがたくさんいるぞ! バッタをバッタバッタと捕まえてやる!」

 すごいバッタの大群だ。空中を埋め尽くすほどバッタが飛んでいる。


「あれ? これ捕まえるよりも群れに突っ込んで口を開けて入ってきたバッタモグモグ食ったほうが早くない?」

 魔王ちゃんは、いつもはバカに見えるけど本当は天才だったか。さすが魔王ちゃん。魔王ちゃんは虫かごと虫取り網を捨ててバッタの大群に突っ込んだ。


「では…。いただきまーす!」

 ガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャ…。

 すごい勢いでバッタを食べていたがアクシデントが起きる。


 アカン…!? お腹は膨れたけど、息が出来ない…! しんじゃぅぅぅぅ…。魔王ちゃんはバッタが口のなかに入りすぎて窒息しそうになっていたのだ。


 しかも全身をバッタに噛まれてる気がするんだけど…。全身バッタに噛まれて血だらけになっていた。


 もしかして…このバッタ。危険なバッタなのでは…!? 魔王ちゃん、気付くのが少し遅すぎたのだ。

 そもそもバッタを食おうとしたのが間違いなのだ。


こんなところで、死ぬわけにはいかない! 仮にも我は魔王!!! 今こそ魔王らしく魔法使って切り抜ける…! 


「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 魔王ちゃんから凄まじいエネルギーがビシビシ出ている。


 あ、そもそも魔法ってどうやって使うんだ!? 生まれてこの方1度も魔法なんて使ったことがなかったから分からないや。

 やっぱりダメだった魔王ちゃん。お疲れ様でした。魔王ちゃん完!


本当にアカン…!!! 誰でもいいから助けて…!!! あれ、なんか体に力が入らなくなってきた…。

 魔王ちゃん様の人生オワタ…! 魔王ちゃんの目の前が真っ暗になった…。



……………………………………



「はっ…!?」

 魔王ちゃんは飛び起きた。


「何かとても嫌な夢を見ていた気がする…」

 魔王ちゃん、なぜ生きてる…!?


~つづく~

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