第二十一話 女王さま系女子。
「イルカはちょっと反省しなきゃいけないんだけど、エミはイイ子よ。陰キャだけど。でもわたしが気になるのは、宗教じゃなくて、あなた。あなた一見、陰キャでキモデブオタだけど」
セカイは、陰キャでキモデブオタと言われても何も気にならない自分が少し情けなくなった。
「断るところはきっちり断るし、厳しいこともはっきり言う。わたしたちって結構派手目の外見なのに、怖気づかない。わたしはてっきりドーテーかと思ってたけど、もしかしてドーテーじゃないんじゃない?」
いやドーテーですけど、とはさすがのセカイも言えずに黙り込むしかない。
「もしかして、もうフレアちゃんとヤルことヤっちゃってんの?」
「いやフレアとはそんな関係じゃない」
セカイはつい、本音を言ってしまった。ウルルはそんなセカイに顔を近づけた。
「へーえ。やっぱりただならぬ関係なわけね」
誘導尋問だった。
「宗教の勧誘なら、もっとヴェテランがいそうよね。とくにわたしたちみたいな女の子相手だったらさ、イケメンとかイケオジとかさ」
「いや、ただの」
幼馴染、と言いかけてセカイは踏みとどまった。相手はフレアとの関係を知らないはずだ。
「アルバイトとアルバイト先の幹部候補という関係です」
セカイは信者でもないのだ。
「ふーん。そのわりにはよく知ってそうな雰囲気を感じるわね。フレアちゃんは聖女だっていう話だけど、その聖女さまをただの幹部候補だって、ふつう言うかしら?」
ウルルがじっとセカイを見る。これもひっかけだ。
「ぼくは信者ではないので。ただの事務アルバイトです」
セカイの苦し紛れの返答をウルルがつまらなさそうに聞いたところで、ウルルの追加オーダーのパフェが来た。
「あっそ。まあ、わたしには関係ないけど。あなたのことキモオタブサメンって言ってごめんなさい」
そう言うと、まったく悪いと思っていないような顔つきでパフェにスプーンを差し込み、なんだか淫靡な様子で口に運んだ。それから唇についたクリームを舌で舐めまわすとウルルは言った。
「そうそう、あなた、みどころあるからわたしたちのお店に来ていいわよ。特別待遇してあげる。お店のことは、フレアちゃんに聞いてね」
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