第6話 狂った男子生徒
「いや、放して‼」
芽愛は階段の踊り場で男子生徒2人に絡まれていた。
2人とも身なりは整っており特に悪い印象を持つところは全くないのだが、今は違う。2人とも芽愛を見る目がとてもイヤらしい。
男子生徒の1人が芽愛の両腕を床に抑え、もう1人の男子生徒が芽愛を上から下まで舐めるように眺めている。
「まさか相川さんがこんな痴女だとは思わなかったよ」
「……違うこれは」
「いいよ相川さん、僕たちが相手になってあげるから……」
「おい、次は俺だからな!」
男子生徒たちは芽愛を襲うことしか頭にない。
「さぁ、ブラの下はどうなっているの?」
男子生徒が芽愛のブラに手を伸ばした。
芽愛は抵抗したいが、別の男子生徒の力の方が強く身動きが取れない。
自分の無力感と襲われる恐怖に再び涙を流す芽愛。
「てめぇら何やってんだぁぁぁー‼」
そこへ恭兵が駆け込んだ。その顔はこれから悪魔にでも変身するのではと思うような恐ろしいものになっている。
その理由はとにかく恭兵にとって理不尽な状況が続いているからだ。
「よう。一緒にやらないか?」
「ほう、いいね」
恭兵は瞬時に顔を引きつりながら作り笑顔で男子生徒を見た。本当は睨んでいる。
「やるってのは……こっちの
そう言うと恭兵は
やはり秋葉の場合は犯罪者だから平気だったのかもしれない、今回の相手には抵抗感が生まれた。
「何、モデルガン?」
「そう‼」
バンッ! バンッ! バンッ!
「きゃっ‼」
銃声に驚いた芽愛が悲鳴を上げた。
ヤケになった恭兵が威嚇で床に向けて3発発砲したのだ。
「どうだ……喰らいたくなきゃとっとと失せろ‼」
これで逃げるはず……いや、逃げて欲しい、と恭兵は願う。
「おい、しっかり押さえてろよ!」
そんなことはどこ吹く風、と男子生徒は再び芽愛に手を伸ばした。
(もう……!)
バンッ! バンッ!
恭兵はやむを得ず男子生徒に向けて発砲。
弾は男子生徒たちの足に当たった。2人ともかすり傷程度だが少々深いため、撃たれた場所を手で押さえ、もがき苦しんでいる。
悪いことをしたのだから当然の結果だ、と恭兵は思うものの、やはり子供を撃ったことに罪悪感が募る。
「今度は銃を持った相手を挑発するのは止めな……」
恭兵は男子生徒に説教した後、芽愛へ手を差し出した。
しかし、目の前で人を撃った恭兵に恐怖心を抱いたのか芽愛は蹲ってしまった。
それを見て恭兵は、もう、と内心腹を立てるが、一度深呼吸をして気持ちを落ち着けると、恭兵はしゃがみ芽愛と目線を合わせる。
「俺はキミを守りに来たんだ。こんな状況だけど、信じてくれ……」
そう言って恭兵は芽愛の目を真っすぐに見て、再び手を差し伸べる。
恭兵の真剣な眼差しに、芽愛は震えながらもゆっくり恭兵へ手を出した。
芽愛の手を優しく握ると、恭兵は立ち上がり、それに合わせて芽愛も立ち上がる。
「前仕舞え、って言っただろ?」
説教する恭兵に芽愛は少し不満そうに言い返した。
「ボタン取れちゃって……」
「あぁ……ゴメン……」
芽愛はアニメのキャラとはいえ、その前に女の子だ。配慮が足りなかったと恭兵は少し後悔した。
そして恭兵は自分が着ていたライダースジャケットを脱いだ。
「これを着て」
そう言って恭兵はライダースジャケットを芽愛に差し出した。
「あ、ありがとうございます」
すると芽愛は制服のブレザーを脱ぎ始め、恭兵は慌ててあさっての方へ向いた。
ブレザーの上からジャケットは着られない。そうと分かってはいるが、女の子が目の前で上着だけとはいえ衣服を脱ぐ動作はさすがにドキッとする。
それよりもその見える下着を何とかしてほしい。
そんなことを考えていると、恭兵のライダースジャケットを着た芽愛。これなら下着が見える心配はない。
恭兵は少しホッとした。
「ここから逃げるぞ!」
恭兵は制服のブレザーを畳み終えたことを確認すると、芽愛の手を引いて階段を下りる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます