鬼求代

 目の前には殺気立ったゾンビの集団。ちょっと声を張り上げれば、すぐに飛びかかってくるだろう。こっちも全員気合が漲ってる。飛び出す準備は万全だ。

 だけどまあ、こういう状況だと、突っかかり方は変えなくちゃいけないんだ。


「んじゃ、行くか」

「おう」


 俺と輝はチェーンソーを片手に、青蛾に向かって歩き出した。走らない。早歩きでもない。散歩でもするような速さで近付いていく。

 ゾンビたちは、俺たちが走り出してきたら迎え撃つつもりだったんだろう。それが普通に歩いてきたから、戸惑って反応が遅れた。

 我に返ったゾンビの何匹かが、弓矢を撃ってきた。慌てて撃ってきたから、ほとんどは当たらない。ただ、1本だけ当たるコースだった。ちょっと横に動いて避ける。隣の輝はチェーンソーで切り払っていた。


「避けるまでもねえだろ、こんなの」

「そんなに器用じゃないんだよ、俺は」


 飛んでくる矢を切り払うとか、ゲームじゃないんだから。輝くらいの動体視力と技量がないとできない。

 軽く声を掛け合った後、俺たちは同時に走り出した。

 ゆっくり歩いて、話までしてた俺たちがいきなり加速するなんて、ゾンビたちは思っていなかった。不意を突かれて、迎撃が遅れる。

 その隙に、俺と輝はゾンビたちの懐に飛び込み、チェーンソーを振るった。2つの斬撃で何体ものゾンビが真っ二つになる。


「死ねえええっ!」


 突破口は開いた。こっからは乱戦だ。とにかく前へ、青蛾の方に進む。作戦とかは必要ない。元々囲まれてたんだから、ボスを殺すのが一番わかりやすくて手っ取り早い。


「もう死んでんだよこっちはァ!」


 鍬を持った農民ゾンビが、元気に叫んで殴りかかってくる。


「んじゃもっかい死ね!」


 鍬を避け、チェーンソーで首を刎ね飛ばす。

 続いてドロドロに腐った十二単ゾンビ。腕を伸ばして迫ってくる。触られる前にチェーンソーを振り下ろし、頭から一刀両断。腐ってるからよく斬れる。


「ふんぬっ!」


 侍のゾンビが刀で喉を狙ってきた。上体を傾けて避け、胴にチェーンソーを叩き込む。だけど侍ゾンビはすぐに刀を戻して、チェーンソーを防いだ。

 これだけ数がいれば、ちょっとはできる奴もいるか。


「私、メリーさん」


 鍔迫り合いをする侍ゾンビの後ろに、メリーさんが現れた。


「今、あなたの後ろにいるの!」


 チェーンソーが振り下ろされる。背中を斬られて、侍ゾンビが倒れた。


「悪い! メリーさん、助かった!」

「ふふーん!」


 得意げな顔をするメリーさん。その後ろでは、アケミがサラリーマンゾンビの群れに突っ込み、4本のチェーンソーで次々と殺していく。あっちも頼もしい。

 周りに目を向ければ、輝が俺よりも前に進んでいた。ゾンビたちの攻撃を軽々と躱し、すれ違いざまの一閃で倒していく。

 後ろじゃ原木と土井さんが、橋本に寄り付くゾンビを倒している。そうして守られた橋本は、空に向かって矢を放った。

 矢は空中で花火のように爆発。光の雨がゾンビたちに降り注ぐ。結構な数のゾンビがバタバタと倒れる。範囲攻撃だ。助かる。


 倒れたゾンビの先に、別のゾンビの一団。戦国時代の足軽ゾンビだ。輝を狙って火縄銃を構えている。……銃!?

 割り込もうとしたら、足軽ゾンビの真上に瓶がした。瓶は足軽の頭に当たって砕け、中の液体を撒き散らす。

 液体を被ったゾンビは、火縄銃を放り出してのたうち回った。体からじゅうじゅう煙が吹き上がってる。直後、火縄銃が暴発し、周りのゾンビが巻き添えを食った。

 あれは、楓か。『隙間女』の力を使って、えげつない瓶を頭の上にワープさせたらしい。


「しっかし……!」


 思わずぼやく。イノシシゾンビの突進を避け、すれ違いざまに首を斬りつける。とうとう襲いかかってくるのが元人間ですらなくなった。


「統一感ってものは無いのかよ、オイ!?」


 ゾンビなのはいいとして、武器がバラバラだ。刃物だったり、飛び道具だったり、乗り物だったり。


「ゾンビらしく噛みついてくる奴はいないのか!?」

「ゾンビじゃないわよ、鬼求代グイチゥダイ

「ああ!?」


 ゾンビの群れの向こうから青蛾が笑ってくる。


「こっちの冥界はね、生者が自分と同じ死に方をしてくれないと転生できないの。

 だからこうして呼び起こせば、身代わりを求めて自分と同じ死に目に遭わせる鬼になるのよ」


 後ろから首に縄を掛けられた。締め上げようとするゾンビの腹に肘を叩き込む。怯んだところで背負投げし、顔面を踏み砕く。


「それは縊鬼イーグイ


 炎が上がる。全身が燃え盛るゾンビだ。橋本の弓が撃ち倒す。


「それは焼鬼シャオグイ


 真っ黒に腐ったゾンビが、瘴気を撒き散らしてくる。メリーさんが後ろに回り込み、首を斬り落とす。


「それは疫鬼イーグイ


 エンジン音。ゾンビが運転するタクシーが突っ込んでくる。原木がドロップキックでフロントガラスを砕き、ゾンビの運転手を潰す。


「それは轢鬼リィグイ


 火薬の破裂音。鉄砲足軽ゾンビだ。輝がゾンビたちの間を縫って駆け寄り、チェーンソーで斬り捨てる。


「それは銃鬼チョングイ


 ゾンビが丸太を投げつけてくる。潰されるのを避けた楓が腕を振るうと、丸太ゾンビの喉がワープしたナイフに斬り裂かれる。


「それは潰鬼フィグイ


 得意げに語る青蛾に向かって俺は突進する。その前に巨大な影が立ち塞がる。

 熊だ。いや、違う。熊の顎にゾンビの頭が嵌ってる。熊に食われたゾンビ。つまり。


「……これは熊鬼か」

正解ジャンジエ正解ジャンジエ


 パチパチと青蛾が両手を打ち鳴らす。


「凄いわねえ、この街。千年もかけて死を蒐集しているみたい。

 しかも雁字搦めになった結界のせいで霊魂が外に逃げられなくなってる。死に方の博物館でも作ろうとしたのかしら? いい趣味してるわね。

 どう? あなたの好みの死に方は見つかった? 今なら好きなの選べるわよ?」


 その言い方が癪に障った。


「うるせえぞバカ野郎ッ!」


 怒りに任せて、熊鬼の顔面をエンジンブロックで殴りつけた。

 熊鬼は目を白黒させる。お構いなしに殴る。更に殴る。


「殺され方に好みも何もあるか!

 チェーンソーで斬り殺しても、ビルから突き落としても、海に沈めても、死ぬのは同じだろうが!」


 殴られ続けた熊鬼が倒れた。貧弱だ。本物の熊ならすぐに殴り返してきたぞ。所詮はゾンビが化けてる紛い物だ。


「だいたい、ちょっと変わった死に方したくらいで相手も同じ目に遭わせられるかと思ったら大間違いだ!

 こちとらチェーンソーのプロだぞ! 暴力仕事だ! 殺しの説教なんて百年早いっつうの!」


 熊鬼の首にチェーンソーを突き立てる。盛大に血を吹き上げて、熊鬼は死んだ。


「……剣呑、剣呑」


 青蛾はまだ余裕ぶってやがる。その面、真っ二つにしてやる。

 居並ぶゾンビを斬り伏せて、青蛾が座る輿へ向かう。


「悪人だとは思ってたけど、殺生が生業だったとはねえ。殺しのプロに他殺体をぶつけるのは、確かに相性は悪いわ」


 ゾンビが突き出してきた槍を払い、返す刀で首を斬る。あと4,5体で青蛾に届く。


「でもね、チェーンソー屋さん。は殺せるかしら?」


 足元に何かがぶつかってきた。下を見る。

 小さな肉の塊だ。いや、手足がついている。頭もある。腐ってる。

 赤ん坊のゾンビだ。


「ふんっ!」


 ブーツの鉄板で蹴り飛ばした。赤ん坊のゾンビは放物線を描いて飛んでいき、青蛾にぶつかる寸前で見えない壁に弾かれた。


「人の心とかないのかしら?」

「だったら自分で抱いてやれよ、二児の母」

「私の子じゃないもの」


 足にまた何かがぶつかった。赤ん坊のゾンビが3つ。さっきのとは……違うのか? 赤ん坊の区別なんてつかねえよ。

 チェーンソーを振り下ろして叩き切る。ところが、切ったはずの体が動いて勝手に繋がる。元通りになった赤ん坊のゾンビは、足にまとわりついてくる。

 更に、どんどん赤ん坊のゾンビが集まってくる。5体、10体……いや待て待て!


「おいおい多い多い多い!」


 数え切れないほどの赤ん坊のゾンビが群がってくる。積み重なって、膝の辺りまで登ってきてる。噛みついたりはしないけど、邪魔だ!

 しかも斬っても投げても死なない。どうなってんだ!?


「おい、それは……!?」


 こっちの様子に気付いた原木はギョッとした。


「何か死なねえ!」

「言ってる場合か! 下がれ! 女たちは近付くな! 触られたら終いだぞ!」


 原木の迫力に押されて、メリーさんたちは後ろに下がった。俺と輝と原木、それに土井さんは、津波のように殺到する赤ん坊ゾンビを食い止める。


「キ、キッツい……!」


 赤ん坊ゾンビを突き刺した土井さんが呻いた。


「そんな強くねえだろ?」

「そうじゃなくて、見た目が……」

「死んでるだろ、我慢しろ!」

「死んでいない」

「え」


 原木、今なんて?


「生きてもいない」

「な、何が?」

「これは……生まれなかった未練だ!」

「正答、正答。養小鬼ヤンシャオグイよ」


 ゾンビの河の向こうで、青蛾が笑う。


「青蛾、貴様、どこまで死者を愚弄するか!」

「生きたかった願いを叶えてあげたからいいじゃない」

「ごめん、そんなに怒る話?」


 原木と青蛾が喋ってるけど、何が何だかさっぱりわからない。説明してほしい。


「……水子の霊、生まれてこなかった赤子を使役しているんだ!

 生まれていないから死にもしない!」


 なるほど。試しに足元の一匹の頭を踏み砕いてみる。ガクガク震えてるけど、死にそうにない。


「本当だ」

「鬼か!?」


 鬼じゃねえよ。まだ試験に受かってないんだから。

 それよりも死なない大群は厄介だ。蹴っても斬っても次々と集まってくる。そして減らない。徐々に後ろに押されちまう。

 いつの間にか、青蛾の声が聞こえないところまで押し返されていた。他のゾンビも俺たちを遠巻きに見てるだけだ。見世物にされてるのが嫌なので、煽ってみる。


「お前らー! 赤ん坊に任せっきりで恥ずかしくないのかー!?」

「その赤ん坊を殺しまくるお前に言われたくねえよー!」

「人でなしー!」


 ゾンビに人でなしって言われるのは納得いかない。それに殺しまくってない。むしろ死なないから困ってるんだ。


「まずい……城壁を越えられてるぞ!」


 輝が叫んだ。見ると、はしごが城壁に掛けられて、そこからゾンビが二条城の中に入り込んでいた。城門はまだ破られていないけど、あれじゃ先に中が全滅する。


「メリーさんたち! 城の方を頼む!」

「わかった! 私、メリーさん! 今、お城にいるの!」


 メリーさんと楓の姿が消えた。ワープしたらしい。アケミと橋本は走って二条城に向かっている。

 さて、この赤ん坊ゾンビの群れはどうしようか。殺しても殺しても這いずってきて、とうとう膝まで上がってきた。こいつはもうダメだ。


「一旦逃げるぞ!」

「アァ!? 敵に背中向けろってか!?」

「無理なもんは無理だろうが! こいつらだけでも振り切らないと、勝負にならないだろ!」

「いやほんと……心がしんどい」


 土井さんがだいぶ疲れてる。輝と原木もちょっとしんどそうだ。俺もちょっと息が切れてきた。休みたいのはマジだ。


「逃げるのには賛成だが、どこに?」


 それなんだよな。原木が言う通り、ゾンビに囲まれてる。赤ん坊に纏わりつかれながら包囲網を抜けるのは難しい。


「とりあえず、城とは逆方向に……」


 突然、爆音が響いた。車のクラクション、しかも低くてデカい。バスだ。

 城の反対側から、市営バスがヘッドライトを光らせて走ってきた。進路上にいたゾンビたちが大慌てで道を開ける。

 ヤバい轢かれる、と思ったら、バスは赤ん坊ゾンビの前で停車した。ドアが開く。


「うちの子ぉぉぉ!」


 中から出てきたのは女の幽霊たちだ。物凄い勢いで赤ん坊ゾンビの群れに分け入り、抱き上げていく。


「いたー!」

「あんたどこ行ってたのよまったく!」

「ごめんねえええ! 怖かったでしょおおお!」

「ほらー、飴ちゃんだよう!」

「あたしの……違う」

「ちょっとぉ! うちの子に何するのよ!」


 こ……子供? 親? 親がいるの、このゾンビ?


「よせ、女は触れるな!」

「何すんのよこのアンポンタン!」

「んぐっ……」


 止めようとした原木がすりこぎで頭を殴られた。

 更にクラクション。別のバスがやってきて、そこからも女の幽霊たちが降りてくる。

 肘に重み。呆気に取られてる間に赤ん坊のゾンビが腰まで登ってきていた。危険水域だ。


「クソがっ!」


 チェーンソーを投げ捨て、両手で手当たり次第に赤ん坊ゾンビを振り払う。ヒルにまとわりつかれてる気分だ。


「うちの子に何すんじゃい!」


 背中を殴られた。痛え。

 振り返ると、角材を持った女の幽霊が鼻息を荒くして立っていた。

 何すんだコラ、と殴ろうとしたら、肩を鍋で殴られた。痛い。別の女の幽霊が近くにいた。っていうか囲まれてる。


「子供の敵ーっ!」

「女の敵ーっ!」


 四方八方から、痛っ、コラッ、やめっ! クソッ、チェーンソーを手放した途端にこれか!?

 逃げようにも足元は子供ゾンビ、どうしろってんだ。


「押さないでくださいッ! 走らないでくださいッ!」

「ケンカしないで! ちゃんと子供の顔見て!」


 殴られていると、別の幽霊が割り込んで助けてくれた。江戸時代の侍だ。見覚えがある。


「伊東さん!」

「うむッ! 御陵衛士総長、伊東であるッ!」


 京都を守ってる幕末の幽霊の伊東さんとその仲間たちだった。


「どうしてここに!?」

「母親の幽霊たちが、子供がここにいると騒ぎ出したのだッ!

 止められそうになかったから、やむを得ずバスに乗せて送ったのだが……君が暴れているとなると、犯人が現れたかッ!?」

「ああ! 二条城を襲ってる! で、子供のゾンビを操って、けしかけてきやがった! 死なないんだよ、ヤバいぞ!」


 そんな子供のゾンビたちは、母親の幽霊に抱かれると急に大人しくなった。あーあー言って、母親から飴をもらって抱きついている。


「あれ?」

「実の母親に抱かれているのだッ、赤ん坊は大人しくなって当然だッ!」

「んじゃあ、これが、あの探してた子供の死体ってことか……」


 飴屋に並んでた母親の幽霊たち。その子供はどこに消えたんだと思ってたけど、青蛾がこうして操ってたのか。それが、本物の母親が来たから大人しくなった、と。

 一時はどうなるかと思ったけど、これで助かった……か?


「まだだっ!」


 輝が叫んだ。直後に銃声。母親の幽霊たちがバタバタと倒れた。

 見ると、戦国時代の足軽鉄砲隊が10人くらいいる。しかも槍と騎馬武者も揃っている。今までの賑やかしとは違う。ちゃんとした戦闘部隊だ。

 赤ん坊のゾンビがダメだと気付いて、実力行使に切り替えてきたらしい。


「伊東さん! バスで幽霊たちを避難させてくれ!」

「いや、結構無理をしてタイヤが……」

「マジかよ」

「なら二条城に避難させる! そこが一番近い!」


 突っ込んできた槍足軽を斬りつつ、輝が叫んだ。


「皆さん! 落ち着いて、私についてきてください!

 安全な場所に避難させます!」


 土井さんが先陣を切って、親子の幽霊を二条城へ誘導する。幽霊たちは鉄砲にビビって、大人しくついていく。撃たれて怪我した奴は、他の幽霊が支えてやっていた。

 その後を戦国ゾンビたちが追いかけようとする。そうはさせない。食い止めるのは、俺たちと御陵衛士の仕事だ。


「おらあっ!」


 斬りかかってきた鎧武者ゾンビの首を跳ね飛ばす。首無し死体の襟首を掴んで盾にする。直後、銃声。鉛玉が首無し死体に突き刺さった。

 死体を投げ捨て、弾込めを始めた足軽鉄砲ゾンビ隊に突っ込む。次に撃たれる前に全滅させる。そうはさせまいと、槍足軽ゾンビたちが前に出てきた。

 下手に前に出たら串刺しか。ためらう俺の横を抜けて、槍衾に突っ込む影。輝だ。


「せいっ!」


 輝がチェーンソーを振るうと、並んだ穂先が一瞬で斬り飛ばされた。槍足軽ゾンビたちが驚いている間に、輝は隊列に飛び込み、四方へと斬撃を繰り出す。ゾンビたちが次々と斬り伏せられる。相変わらずとんでもねえな、オイ。


「その首、貰ったァッ!」


 騎馬武者が太刀を振り上げて襲いかかってきた。振り下ろされた太刀をチェーンソーで受け止める。二の太刀を振るおうと、騎馬武者が太刀をもう一度振り上げる。

 俺はチェーンソーのエンジンブロックを馬の腹に叩きつけた。そこから足を踏ん張り、チェーンソー発剄を放つ。衝撃を受けた馬が倒れ、騎馬武者が投げ出された。そこに飛びかかって、首にチェーンソーを突き立てる。


「相変わらずムチャクチャしやがるなあ、兄貴!」

「これくらいお前でもできるだろ」

「馬を人力で吹っ飛ばすのは無理だっての!」


 いや、騎馬武者を倒せる、って意味で言ったんだけど。まあいいや。

 輝が崩した隊列から伊東さんたちがなだれ込んで、足軽鉄砲ゾンビ隊は全滅した。他のゾンビ連中は……ビビって後ろに下がってる。


「よし、今だ!」

「退け、退けぇーいッ!」


 俺たちは、二条城に向かって走り出した。一旦仕切り直しだ。まずはメリーさんたちと合流。それから青蛾をブン殴りに行くぞ。

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